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社説2 米ミャンマー新政策に懸念(9/27)

 米国のオバマ政権は制裁一辺倒だったミャンマー政策を見直し、軍事政権との直接対話に乗り出す。1990年代から実施してきた制裁が民主化や人権状況の改善につながらなかった経緯を踏まえた方針転換だろうが、軍事政権に融和的と受け取られかねない懸念がある。

 クリントン米国務長官は23日、国連で「制裁か関与かという選択は誤りだ」と指摘し、これまでの制裁は維持しながら並行して軍事政権と対話していく考えを表明した。

 米欧を軸とする制裁が期待される効果をあげていないのは事実だ。軍事政権が経済面でも安全保障面でも中国に依存する傾向をもたらし、戦略的に中国を利する結果となっている面さえある。軍事政権が北朝鮮の協力で核開発に手を染める可能性も指摘されている。

 中国とインドに接し、インド洋東部に突き出している地政学的重要性や、鉱産資源に恵まれ5000万の人口を有する潜在力を考慮すれば、米国の政策転換に合理性がないわけではない。しかし「軍事政権に歩み寄った」と受け止められる危険性があることは否定できない。

 自宅軟禁中の民主化勢力指導者、アウン・サン・スー・チー氏は歓迎する姿勢を明らかにしたが、国際的な人権団体や軍事政権と抗争を繰り返してきた少数民族勢力などからは懸念の声があがっている。

 クリントン長官はスー・チー氏を含むすべての政治犯の即時釈放や民主化など「基本的な目標は変わっていない」と強調した。少なくとも、こうした基本姿勢を一段と強く軍事政権に示していく必要があろう。

 軍事政権は来年の総選挙に向け少数民族への圧迫を強めている。8月には北部の中国系少数民族が1万人以上も中国・雲南省へ越境する事件が起きた。力ずくで国内の安定を目指す軍事政権の政策が、かえって地域の安定を揺るがしている。

 ミャンマーの人権問題に強い関心を示してきた民主党が政権の座に就き、日本のミャンマー政策も問い直されている。「東アジア共同体」という言葉に魂を入れるためにも、米欧だけでなく東南アジア諸国連合(ASEAN)や中国、インドも巻き込む外交努力が求められる。

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