HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57432 Content-Type: text/html ETag: "ff221-15f5-3ff12900" Expires: Sat, 26 Sep 2009 02:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 26 Sep 2009 02:21:10 GMT Connection: close 事故調報告漏洩 JR西の工作は言語同断だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

事故調報告漏洩 JR西の工作は言語同断だ(9月26日付・読売社説)

 事故調査の信頼性を揺るがす、前代未聞の不祥事である。

 JR福知山線の脱線事故調査をめぐって、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)のメンバーだった元委員が最終報告書の内容を一昨年6月の公表前に漏らしていたことが明るみに出た。

 しかも、漏洩(ろうえい)した相手は、調査対象者だった当時の山崎正夫・JR西日本社長である。

 元委員は、山崎前社長の側から接触を求められて何度か面会し、報告書案を数回にわたって見せていたという。

 さらに悪質なのは、報告書案にあった「ATS(自動列車停止装置)があれば事故が防げた」という文言の削除を山崎前社長が要求し、元委員が求めに沿った発言を委員会でしていたことだ。

 元委員は山崎前社長の旧国鉄時代の先輩で、前社長から夕食の接待を受けたり鉄道模型をもらったりしていた。

 事故調を昨年10月に引き継いだ運輸安全委員会は、25日の記者会見でこうした事実を明らかにするとともに、「報告書の内容に影響はなかった」と説明した。

 しかし、それで済むような問題ではない。

 事故を調査するのは、原因の究明で再発を防ぐためだ。それなのに、事故の当事者が原因の分析を変えさせるよう働きかけていた。まさに言語道断である。

 鉄道事故の遺族らが「調査の公平性を踏みにじり、断じて許せない」と憤るのも当然だ。

 JR西日本については、かねて責任逃れや安全軽視の体質が指摘されてきた。

 報告書を裏でねじ曲げようと工作するようでは、事故の再発防止に真摯(しんし)に取り組んでいないのではないか、と見られても仕方あるまい。JR西日本は改めて、そうした企業体質の一掃に努める必要があろう。

 運輸安全委の設置法には、委員が職務上知り得た秘密を漏らしても罰則がない。まさか委員が秘密を漏らすはずがないという信頼の原則に立っているからだ。

 今回の事態を受け、前原国交相は「罰則が盛り込めないか検討している」と話した。当然の指摘であり、早急に着手すべきだ。

 今回の工作は、神戸地検の捜査過程で発覚したが、今年7月には山崎前社長を在宅起訴して捜査を終えている。

 地検から運輸安全委にいつ連絡が入り、なぜ公表が今になったのか説明も必要だろう。

2009年9月26日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です