HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57638 Content-Type: text/html ETag: "21f6e7-15e9-7a09c700" Expires: Wed, 23 Sep 2009 21:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 23 Sep 2009 21:21:05 GMT Connection: close 鳩山環境演説 国内合意なき25%削減の表明 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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鳩山環境演説 国内合意なき25%削減の表明(9月24日付・読売社説)

 温室効果ガスの排出量を、2020年までに1990年比で25%削減する――。鳩山首相が、日本の温暖化対策の中期目標を、国連の気候変動首脳級会合で言明した。

 国内的な合意ができていない中、内閣発足直後にこれほど重要な国際公約を一方的に宣言する必要があったのか、疑問である。

 最も懸念されるのは、この数値が独り歩きすることだ。

 鳩山首相は演説で、「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の前提となる」と述べた。

 「25%削減」は、主要排出国が厳しい削減目標を設定するのが条件というわけだ。

 「90年比25%減」は、05年比に直すと30%減となり、米国の14%減、欧州連合(EU)の13%減と比べ、突出している。いかに国際的な公平性を担保するのか。

 12月が交渉期限の「ポスト京都議定書」は、鳩山首相も言うように、「公平かつ実効性のある枠組み」でなければならない。それが、日本にとって不利な削減目標を課せられた京都議定書の教訓だ。

 そうであるなら、今後の国際交渉は、日本にとって極めて重要になる。鳩山内閣の外交手腕が問われるのは、これからである。

 「実効性」の観点で最も大切なのは、米国と中国の排出量をいかに減らすかということだ。

 世界全体の中で、日本の排出量は約4%に過ぎない。それに対し、米国と中国は、それぞれ約20%を占めている。

 オバマ米大統領は演説で、再生可能エネルギーの利用促進など、自国の取り組み例を挙げ、排出削減に意欲を示した。

 だが、米国が今後の交渉で、日本と同レベルの削減目標を受け入れるかどうかは、不透明だ。

 鳩山首相は「鳩山イニシアチブ」として、途上国への資金支援、技術支援構想を打ち出した。重要なのは、支援の見返りとして、中国など途上国に、削減の責任を確実に負わせることだ。

 今後、米国、中国を引き込む困難な国際交渉が控える一方で、国内でも「25%減」の合意作りは、容易ではあるまい。産業界の反発は、依然として強い。

 首相は、目標達成のために、国内排出量取引制度の創設や、地球温暖化対策税の検討などを挙げたが、これらの施策が、景気回復の足かせとなる恐れもある。

 経済活動を停滞させずに、排出削減をどう実現するのか。首相は早急に道筋を示す必要がある。

2009年9月24日01時47分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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