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ネット新時代 覇権を競うIT巨大企業(9月23日付・読売社説)

 パソコンは「ソフトなしではタダの箱」と言われてきた。これが「ネットなしではタダの箱」となりそうだ。

     米マイクロソフト社が来月下旬、一般向けに発売するパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」は、そんな時代を象徴するものだ。

 これまでは、例えばパソコンで文書を作る時には、ワープロソフトを自分のパソコンに入れておくことが大前提だった。

 今は、パソコンをネットに接続し、そこにあるワープロ機能を使えばいい。しかも、できた文書はネット上に保存しておける。

 パソコンはネット接続できれば十分な時代だ。機能を削り価格を5万円以下に抑えた「ネットブック」パソコンも売れている。

 「7」は、そうした時代への対応を強化した。2年前に出た同社の現行OS「ウィンドウズ・ビスタ」はネットブックでは快適に動かない。「7」は違う。映像や音楽を他の利用者とネット上で共有しやすくもなっている。

 路線の大幅修正だ。以前のOSは機能が増えるばかりで、快適に使うには、高性能パソコンへの買い替えが必要なほどだった。

 OS最大手のマイクロソフト社が路線修正した背景に、ネット検索大手、米グーグル社がある。

 電子メールや文書作成、表計算をネットで使えるサービスをいち早く提供した。写真をネットに置いて管理するサービスもある。これに最適なOSを、独自に提供する方針も打ち出している。

 こうしたネット利用は「クラウド・コンピューティング」と呼ばれる。ネットの向こうに「雲」のように多彩なサービスやデータがある例えだ。すでに、通信販売やデータ保管といったクラウドサービスも登場している。

 企業でも、データやソフトをネット上に置くクラウド方式の導入が盛んだ。個々の社員がパソコンを管理するより、コストやデータ漏洩(ろうえい)の危険が減るためだ。

 グーグル社は、クラウド時代の先頭集団にいる。マイクロソフト社の新OS投入で、情報技術(IT)業界の巨大企業同士の覇権争いは一層、熱を帯びるだろう。

 心配なのは日本だ。こうした競争から取り残されている。将来はネット経由で海外のソフトを使いデータも海外のコンピューターに保存する、となるのか。

 総務、経済産業両省が対策検討に乗り出している。日本の情報通信産業を空洞化させないためにも対応を急ぎたい。

2009年9月23日01時40分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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