HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57359 Content-Type: text/html ETag: "21af8b-161a-42ce2880" Expires: Tue, 22 Sep 2009 22:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 22 Sep 2009 22:21:06 GMT Connection: close 日中首脳会談 「友愛」だけで外交は進まない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

日中首脳会談 「友愛」だけで外交は進まない(9月23日付・読売社説)

 鳩山首相の米国での一連の首脳外交は、中国の胡錦濤国家主席との会談で始まった。

 首相は、「友愛精神に(のっと)り、日中両国が互いに違いを認めながら、違いを乗り越え、信頼関係を構築していく。それを軸に東アジア全体の共同体を構想していきたい」と述べた。

 この構想は、民主党の政権公約にも明記されている。首相としては、新政権のアジア重視の姿勢を印象づけようとしたのだろう。

 胡主席は、構想には直接言及せず、経済貿易関係の強化などを提案した。歴史認識では、「村山談話」を踏襲するとした首相の立場を評価したいと表明した。

 両国関係は、自民党政権下で合意した「戦略的互恵関係」の発展を基本に、再始動した形だ。

 東アジア共同体については、過去、その枠組みをめぐって、日中間で激しい綱引きが展開された経緯もある。今後、首相は、その構想の具体的な道筋を問われることになるだろう。

 首相は、日中間で懸案になっている東シナ海のガス田開発問題について「いさかいの海から友愛の海にするべきだ」と表明した。

 両国が共同開発で合意したガス田「白樺」(中国名・春暁)で、中国側は今夏、単独開発再開への準備と受け止められる動きをみせていた。日中外交が「友愛」の一筋縄ではいかない好例だ。

 首相は、白樺問題に触れつつ、「中国の真意が見えない」と、2008年の政治的合意を条約化するための交渉を、早期に開始するよう促した。当然のことだ。

 胡主席は、「大局からの正しい処理が必要」と応じたが、中国側は、一刻も早く、政府間交渉に入るべきである。

 気候変動問題で、首相は、2020年までの温室効果ガス削減の中期目標について、1990年比25%削減を明言している。

 胡主席は、この「積極的態度を評価する」とし、中国として、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の成功に向け努力する、と語ったという。

 しかし、首相が示している削減目標は、米国や中国をはじめとした主要国の参加と、意欲的な目標の合意が前提のはずである。

 首相は、削減目標が課されるのを拒む中国が翻意するよう、説得を強めなければならない。

 首相は、オバマ米大統領ら各国首脳とも会談する。外交問題は、友愛だけでは解決せず、国益の衝突という冷厳な現実があることを念頭に対処してほしい。

2009年9月23日01時40分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です