働く意欲があっても、仕事がないという人がたくさんいる世の中だ。「働かざる者食うべからず」などと言うつもりはないが、額に汗して働く人を随分ばかにした話ではないか▼衆院選で当選した議員四百八十人全員に、八月分の歳費などとして、一人二百三十万円が支払われた。八月の在任期間は投開票日とその翌日のわずか二日間。新人議員たちも満額支給を受けた▼当然、日割りにできないのか発想するが、衆院議員の給与は公選法や歳費に関する法律によって、任期中の月払いと定められている。公選法違反の寄付行為に該当するために、返納もできないという▼実はこの問題、過去にも見直しを求める声が上がったことがある。しかし関連法の改正案は提出されなかった。厚顔な国会議員たちがほおかぶりを決め込んだからだ▼さすがに新人議員の間では「社会常識から逸脱している」「国民の理解を得られない」と困惑が広がるが、選挙で借金を背負った多くの議員の本音は「満額支給はありがたい」といったところだろう▼民主党は、この問題にどうけりをつけるつもりだろうか。リストラや給与削減が当たり前になった世の中で「日給百十五万円」という非常識を国民は許さないはずだ。軽く考えない方がいい。さかのぼって返還できる法改正も検討してはどうだろう。「悪銭身に付かず」という諺(ことわざ)もある。