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社説1 君子豹変の第一歩となる首相訪米に(9/21)

 鳩山外交が始動する。

 国際社会は16年ぶりの政権交代で登場した鳩山由紀夫首相を期待と不安がまじった目で見つめる。私たちは先に、対米政策での君子豹変(ひょうへん)を求めた。その第一歩となる旅にしなければ、不安が期待を上回る結果になる。

 首相はニューヨークで22日に国連気候変動サミット、23日に日米首脳会談、24日に核不拡散・核軍縮に関する国連安保理首脳級会合、国連総会演説を予定している。24日夜にピッツバーグに移り、20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する。

 鳩山首相は政治家としての経歴は内政型である。国際舞台の経験はほとんどない。首相自身の言葉を借りれば、政権運営それ自体が「未知との遭遇」だが、外交はとりわけ未知の領域である。

 このため複数の外交ブレーンが助言してきたが、民主党が野党だったためか、特に日米関係に関しては、中核である安全保障分野の内実を知るブレーンがほとんどいない。助言内容は、もっぱら経済の視点に立つ外交論だったり、外野からの観念的な安全保障論だったりする。

 「反米的」とされた雑誌論文も、首相自身とブレーンの考えの反映だろう。論文に対する反応を首相は、虚心坦懐(たんかい)に受け入れる必要がある。一連の外交舞台でも、国際社会の指導者たちの発言に謙虚に耳を傾けてほしい。そうでなければ、独善と孤立に陥る。

 予定される行事のうち、最も重要なのは日米首脳会談である。日米間にすき間風が吹けば、アジア諸国を心配させる。首相が重視する日本とアジア諸国との関係にも影響する。首相は「オバマ大統領との信頼関係を構築することが第一歩」と述べているが、抽象的な言葉だけでは信頼関係はつくれない。

 首相周辺には、環境、経済、軍縮など一般的な合意が得やすい分野の議論を通じて関係を強める構想がある。意見衝突がありうる安全保障分野の議論を避け、周辺分野での合意から始める手法である。

 それだけで信頼関係が築けるだろうか。基本は首脳間の人間関係である。相手が最も困っている問題で助ける。それなしに、友情を深め、信頼を高めるのは難しい。

 オバマ大統領が最も困っているのはアフガニスタン情勢である。この点での具体的議論を避ければ、仮に「信頼関係ができた」と語られても外交修辞にとどまる。会談は表面的成功にとどまる。11月のオバマ訪日も外交儀礼になってしまう。

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