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社説2 米中は保護主義の種まくな(9/21)

 通商問題で米中間の緊張感が高まっている。オバマ米大統領が中国製タイヤを対象にセーフガード(緊急輸入制限)の発動を決め、中国政府は報復措置をとる構えを示した。両国が強硬姿勢を続ければ、世界的な保護主義の連鎖を招きかねない。

 タイヤをめぐる対立は、米中両国の国益が真正面からぶつかり合って起きた構造的な貿易摩擦とはいえない。輸入制限を求めたのは米国の鉄鋼労組である。肝心のタイヤメーカーは発動に反対している。

 オバマ大統領の決定は、労組と関係が深い米議会の勢力に配慮した結果だろう。議会で医療改革の審議が難航しているため、労組の顔色を気にする事情は分かる。だが、国内の事情で通商政策をゆがめれば、悪影響が世界に拡大しかねない。

 米国に続き、世界各国が政府介入による貿易管理に傾くのが心配だ。昨年秋のリーマン・ショック以来、緊急避難を理由とする様々な形の輸入制限措置が目立っている。

 中国はオバマ政権の措置が不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。実際にはWTO協定には抵触していない可能性が強いが、保護主義の色彩が強いのは事実だ。

 オバマ政権が自由貿易に後ろ向きだとみなされれば、同様の貿易制限が世界中で大手を振ってまかり通るようになる。今月初めに再開が決まったばかりの多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が、再び推進力を失う事態は避けなければならない。

 中国政府は、米国への対抗措置として米国産の鶏肉と自動車分野で輸入制限をちらつかせた。こちらも景気先行きに不安を抱く中国内の産業界の声に押され、とりあえず対米強硬姿勢を示してみせた節がある。

 貿易大国の米中両国が、それぞれ国内の政治事情で、世界に保護主義の種をまくのでは困る。4月のワシントンでの20カ国・地域(G20)首脳会議で、米中を含む各国首脳は、保護主義の台頭を阻止する決意を表明したはずだ。

 米中両国は今週ピッツバーグで開くサミットで自由貿易を守る意志を改めて確認し、タイヤでの小さな摩擦を早急に解消すべきだ。保護主義が世界に広がる前に、火を小さいうちに消してほしい。

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