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東欧MD中止 米露関係の進展につながるか(9月21日付・読売社説)

 米国の欧州防衛ミサイル戦略の大きな転換だ。オバマ米大統領が、東欧へのミサイル防衛(MD)システム配備計画の中止を発表した。

 ブッシュ前政権のもとで着手されたMD計画は、イランの長距離弾道ミサイル脅威を想定し、ポーランドに迎撃ミサイルを配備し、チェコに探知レーダー基地を建設するというものだった。

 自らの勢力圏とみなす東欧への配備に反発してきたロシアが、今回の決定を歓迎したのは当然だ。ロシアは、真の狙いはロシアの核戦力封じではないかと警戒し、中止を強く求めていたからだ。

 オバマ政権の決定は、無論、ロシアの言い分を受け入れたわけではない。イランの脅威に対する米国の認識の変化が根底にある。

 大統領は、対処すべき脅威は、開発が想定より遅れているイランの長距離ミサイルではなく、強化された中短距離ミサイルであり、それに即して新たなMD計画を進めると表明した。

 新たな計画では、2020年ごろをめどに全欧をカバーするMDシステム展開を目指す。まず、11年にイージス艦搭載の海上配備型SM3迎撃ミサイルを、15年ごろ陸上配備型の迎撃ミサイル改良型を加えていく予定だという。

 現実の脅威に、実証ずみのシステム配備で、迅速かつ実効ある防衛態勢を築くというもので、一応、もっともな説明といえよう。

 しかし、ロシアの脅威にさらされてきた東欧諸国は動揺している。冷戦後、北大西洋条約機構(NATO)に加盟して安全保障を図ってきたのに、米国が見捨てるのではないかという疑心暗鬼だ。

 米国内にも、「同盟国への裏切りだ」と批判する声がある。

 オバマ大統領が、NATO加盟国に対する武力攻撃には集団的自衛権の行使で共同防衛措置をとると明言したのは、こうした不安の払拭(ふっしょく)を狙ったためだろう。

 オバマ大統領には、ロシアとの関係進展につなげたいという期待もあろう。核軍縮でも、濃縮をやめないイランに制裁強化で圧力をかけるためにも、ロシアの協力は不可欠だ。だが、その思惑通り、ロシアが歩み寄るかどうか。

 米国は、欧州でのミサイル防衛戦略の力点を、中短距離弾道ミサイルへの対応に切り替えた。それは北朝鮮の脅威に対し、日米がまさに実践していることだ。

 北朝鮮は核武装し、中距離ミサイル・ノドンで日本を狙っている。日米はMDシステム運用に磨きをかけていかねばならない。

2009年9月21日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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