HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59875 Content-Type: text/html ETag: "ff1c1-1d59-9f9c2b80" Expires: Sat, 19 Sep 2009 20:21:04 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 19 Sep 2009 20:21:04 GMT Connection: close 鳩山外交始動 日米同盟基軸を行動で示せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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鳩山外交始動 日米同盟基軸を行動で示せ(9月20日付・読売社説)

 鳩山首相があす、米国に向けて出発する。

 今回の訪米では、気候変動、核軍縮・不拡散、国際経済・金融など世界規模の重要課題を討議する国際会議が目白押しだ。

 オバマ米大統領をはじめ、中国、韓国、英国、フランス、ロシア、インドなど各国首脳との会談も予定されている。

 首脳会談が相次いで行われる背景には、政権交代を実現した鳩山首相の外交姿勢に強い関心が抱かれていることがあろう。

 ◆継続性重視アピールを◆

 首相は選挙中、「外交は継続性が重要だ」と指摘している。日米同盟の堅持、国際協調主義、自由貿易体制の推進といった日本外交の骨格は、政権が交代しても何ら変わらないことを積極的に発信してもらいたい。

 中でも重要なのは、日米同盟が引き続き外交の基軸であることを米側に明確に伝えることだ。

 先月末に米紙に掲載された首相の論文は、米国主導のグローバリズムを批判するなど、「反米的」と受け止められ、米国内で波紋を呼んだ。

 首相は、真意が伝わらなかったと釈明している。今回の訪米を機会に、自らの口できちんと説明し、米側の懸念を払拭(ふっしょく)することが大事だ。

 そのためには、「言葉」だけではなく、具体的に裏付ける「行動」を示さなければなるまい。

 例えば、「テロとの戦い」の最前線国家アフガニスタンに対して日本はどんな支援をするのか。

 アフガンが再び、国際テロ組織の巣窟(そうくつ)と化せば、世界の平和と安全は一気に不安定化する。オバマ大統領が今月初めの電話会談で、首相に「アフガンの過激派の掃討」への協力を求めたのも、そんな厳しい認識からだろう。

 ◆問われるアフガン支援◆

 民主党が選挙で公約した通り、日本がインド洋での海上自衛隊の給油活動を中止すれば、「テロとの戦いから離脱した」と受け止められ、日米関係に亀裂が生じる恐れがある。

 首相は、代わりにアフガン本土での文民活動を強化する考えだが、日本はすでに農業支援や学校建設など様々な活動に取り組んでいる。代替策になるのか。

 首相はやはり、給油活動継続の可能性を探るべきだろう。

 首相は、アジア共通通貨の実現や「東アジア共同体」の構築を目指すと強調している。このため、米国内には、「鳩山外交の基本は『脱米入亜』ではないか」と不安視する向きもある。

 これまでの日本政府の基本姿勢は、域内の貿易投資自由化や環境など個別分野の協力から始め、特定の国を排除する形の地域協力はしない、というものだ。

 首相も同様の見解を示しており、日米同盟軽視と受け取られるのは本意ではあるまい。米国離れを志向しているのではないことを、丁寧に説明すべきだろう。

 核軍縮・不拡散に関し、オバマ大統領は、「核兵器のない世界」を提唱している。

 北朝鮮の核開発をどのようにして断念させるか。中国に核弾頭数などの情報を開示させ、核兵器を削減させるにはどうすべきか。

 首相が政権公約で示した「北東アジア非核化」構想も、こうした問題への具体的取り組みを欠いては、何の説得力もない。

 首相と一緒に訪米する岡田外相は、就任の記者会見で、米国は核の先制不使用を明示すべきだとの持論を改めて示した。

 日本にとって、北朝鮮の核ミサイルの脅威に対する唯一の対抗手段は、米国の「核の傘」だ。地域の安保環境を無視した先制不使用論は、日本の平和と安全を著しく害することになる。

 野党時代なら持論を唱えても問題にはならない。だが、外相として首相と異なる見解を述べれば、政府が混乱している印象を与え、対外的な信用を損ねる。

 首相と外相は、これまでの日本外交の基本をしっかりと踏まえ、一連の会談に臨む対処方針について、出発する前に十分練り合わせてほしい。

 ◆25%削減の前提も説け◆

 気候変動問題では、首相は、2020年までに1990年比で25%の温室効果ガス排出削減を目指す考えを表明している。

 欧州各国は高く評価するが、日本の立場が後退しないよう布石を打っているのだろう。額面通り受け止めるわけにはいかない。

 首相は、「すべての主要国の参加」が前提とも述べている。「25%削減」が独り歩きしては困る。会議では、あくまで前提条件付きであることを強調すべきだ。

 国際会議や首脳会談は、各国首脳がそれぞれの国益を主張し、駆け引きを演じる場である。首相と外相は、国益を害するような国際約束や発言をしないよう、気を引き締めて臨むべきだ。

2009年9月20日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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