HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 18 Sep 2009 20:17:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:次官会見禁止 情報公開流れ止めるな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

次官会見禁止 情報公開流れ止めるな

2009年9月18日

 鳩山内閣が本格始動した。自分の言葉で語りかける新閣僚の記者会見は、政治主導への転換を感じさせた。同時に、事務次官会見の禁止方針が、情報公開の流れを止めることにならないか、心配だ。

 「鳩山官邸」で十六日深夜から翌日未明まで行われた十七閣僚の記者会見。官僚が用意した文書を読み上げる自民党政権当時のような大臣はおらず、政治主導、脱官僚主導を体現しようと懸命に語る姿には、好感を覚えた。

 民主党政権での「政と官」の在り方は、自民党政権当時のそれとは大きく変わる。

 法案決定前に事務次官らが事前調整をする事務次官会議は廃止。重要政策の調整は官僚に委ねず、関係閣僚が閣僚委員会で議論する、などだ。官僚出身の事務官房副長官が段取りをしていた閣議も、政治家の副長官が主導する。

 ただ、鳩山内閣が掲げる脱官僚主導の中で気になることもある。次官らの定例記者会見を原則禁止する方針だ。

 平野博文官房長官によると「政治家が関与しないところで役人がものを言うのはやめようということ。情報発信は政治家が責任を持つ」ということらしい。

 官僚が政治家の知らないところで情報を発信し、既成事実化するのは避けたいという気持ちは理解できる。官僚が自分たちの言い分を広めるため、会見などを利用してきたことも事実だろう。

 記者は会見だけを取材の場としているわけでなく、会見が行われなくても、独自に取材し、情報を集めればいいだけの話だ。

 危惧(きぐ)するのは、官僚側が「政治家が責任を持って話すから」と、情報隠しの理由にしたり、政治家の顔色をうかがって取材に口をつぐみ、閉鎖的な空気が広がることだ。密約外交や年金問題などをめぐって官僚を追及する場が制限される可能性も否定できない。

 平野氏は「政治主導の形態をしっかり政権が担いうることの表れと前向きに理解いただきたい」と説明した。警察庁などの中央省庁や地方の出先機関で会見中止の動きが出ており、危惧は現実のものとなっている。

 背景説明などは禁止の対象外ということだが、国民の知る権利を妨げるような事態になれば、民主党が目指す「開かれた社会」は、画餅(がべい)に帰す。政務三役とされる大臣、副大臣、政務官はより積極的に取材に応じ、情報公開に努めるべきだ。政治主導への転換で、その責任は一層重い。

 

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