HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58063 Content-Type: text/html ETag: "15eacb-1658-8ef64400" Expires: Thu, 17 Sep 2009 21:21:07 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 17 Sep 2009 21:21:07 GMT Connection: close 官僚会見禁止 政治主導をはき違えてないか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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官僚会見禁止 政治主導をはき違えてないか(9月18日付・読売社説)

 鳩山新内閣が、閣僚懇談会で「府省の見解を表明する記者会見は、大臣等の『政』が行い、事務次官等の定例記者会見は行わない」ことを申し合わせ、各府省に通達した。

 官僚トップの事務次官など、府省幹部の公式記者会見は、担当行政にかかわる専門的なテーマについて、見解をただす貴重な機会になっている。

 鳩山内閣が「官僚依存」の政治を「政治主導」へと転換させていくことに異論はない。

 しかし、その名のもと、報道機関の取材の機会を制限し、国民の「知る権利」を奪うのであれば、容認できない。官僚会見の禁止に再考を求めたい。

 新内閣が官僚の記者会見禁止を打ち出したのは、各府省の幹部が会見を通じて、政策を方向付けたりすることは許さない、という意思表示と言えよう。

 申し合わせでは、政策の立案・調整・決定は、「政」が責任を持って行い、「官」はこれを補佐すると強調している。この政官関係は、当然のことである。

 だが、そこで「事務次官等」の会見まで禁止するのは、明らかに行き過ぎだ。「等」がどこまでを指すのかも判然としない。

 「専門性その他の状況に応じ」、大臣の判断で官僚会見も行うとしているが、基準があいまいで、各府省で混乱を生じている。

 各府省には、国民に知らせるべきことが数多くある。インフルエンザや災害の発生状況など緊急を要する問題もある。こうした記者会見を「政」が一手に引き受けるのは、非現実的だろう。

 肝心な政策問題も、大臣、副大臣、政務官らが詳細を掌握し、説明を尽くせればよいが、実際に可能なのかどうか疑問は残る。

 今回の通達で懸念されるのは、官僚が()(しゅく)し、国民に必要な情報の開示に消極的になることだ。通達を盾に会見を拒み、不祥事などを隠蔽(いんぺい)する恐れもある。

 そもそも、行政機関は、常に国民からよく見える存在でなければならない。報道機関は、国民に代わって行政機関を監視する役割を担っている。

 記者会見を制限し、政策決定過程の透明性が低下することになれば、新政権の掲げる「官僚支配打破」にも反することになろう。

 申し合わせでは、「政」と「官」は、役割分担に基づいて、国家国民のために職務を遂行する、としている。それならば記者会見も、それぞれ役割を分担して実施すればよいはずである。

2009年9月18日01時31分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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