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鳩山内閣発足 進路を誤らず改革を進めよ(9月17日付・読売社説)

 多くの国民の期待と不安が交錯する中での出発である。

 鳩山新内閣が16日発足した。歴史的な政権交代だが、その高揚感に浸っている余裕はないはずだ。

 世界不況からの脱出、社会保障制度の将来設計、新たな戦略的外交――。新内閣は、政権交代に伴う混乱を避けつつ、待ったなしの課題に総力で取り組み、具体的な成果を上げねばならない。

 ◆公約の「自縛」に陥るな◆

 新内閣への期待は、行き詰まりを見せていた自民党政治の転換にある。それが、衆院選で示された民意と言えよう。

 一方で、行き過ぎた変革が混迷をもたらすのではないかと、国民が不安を感じているのも事実だ。歴代政権が積み重ねてきた日本の進路にかかわる基本政策は、継続する冷静な判断が大切だ。

 民主党は、衆院選の政権公約に固執してはなるまい。民主党に投票した有権者は、すべての公約に賛成しているわけではない。

 子ども手当、高速道路の無料化、温室効果ガスの排出削減目標など、多くの公約は、財源確保や目標達成が疑問視されている。世論調査でも、反対が賛成を上回る例が少なくない。

 民主党とすれば、「公約違反」との批判を避けたいだろうが、自縄自縛に陥り、取り返しのつかない事態になる方がはるかに問題である。公約を吟味し、見直すべきものは見直す勇気が大事だ。

 新内閣では、民主党の菅直人代表代行が副総理兼国家戦略相に、岡田克也・前幹事長が外相に、それぞれ就任した。財務相には藤井裕久最高顧問、国土交通相には前原誠司・元代表が起用された。

 党内勢力のバランスに配慮しつつ、実績のある人材を要所に配置した。手堅い布陣と言えるが、清新さに欠ける印象は否めない。

 鳩山首相は記者会見で、「脱・官僚依存政治」を強調した。そのカギを握るのが、菅国家戦略相と仙谷由人行政刷新相が所管する国家戦略局と行政刷新会議だ。

 ◆政治主導は実現するか◆

 国家戦略局は当面、今年度補正予算の組み替えや来年度予算編成方針の策定に取り組む。

 経済政策では、景気を回復軌道に乗せることが最優先課題だ。一方で、新規施策の巨額の財源確保も必要となる。双方に目配りした(かじ)取りが求められる。

 国家戦略局の権限が不明確なため、各府省と摩擦が生じる懸念もある。菅国家戦略相は藤井財務相らと緊密に連携すべきだ。

 行政刷新会議は、各府省や独立行政法人などの事務をゼロベースで見直す。各府省の既得権益に深く切り込み、国の事務を地方や民間に大胆に移管するには、官僚や関係団体の抵抗を排する強力な政治力が不可欠だ。

 民主党の支持団体の労組も抵抗勢力となりかねない。仙谷行政刷新相はもとより、鳩山首相自身が指導力を発揮せねばならない。

 政治主導には、少なくとも重要閣僚は「一内閣一閣僚」というぐらいの布陣が必要だ。自民党政権の年中行事だった内閣改造の慣行を改めることも課題だろう。

 長妻昭厚生労働相は、「消えた年金」問題の追及で脚光を浴びた。今後は、厚労省を批判するのでなく、牽引(けんいん)する責任を担う。官僚を使いこなす手腕が問われる。

 社民党の福島瑞穂党首は、消費者・少子化相に起用された。女性や生活者の視点を政策に反映する狙いだろう。社民党の存在感を示そうとして突出した主張を展開せず、バランスのとれた行政を心がけてほしい。

 国民新党の亀井静香代表は、金融・郵政改革相に就任した。ほころびが目立つ日本郵政の「西川体制」の刷新や、利用者本位の郵政民営化の見直しは必要だ。ただ、民営化の本筋を(ゆが)め、巨大官製金融を復活させるべきではない。

 鳩山首相は、政策面で連立相手の社民、国民新両党に安易に引きずられてはなるまい。

 外交では、来週の鳩山首相の訪米が最初の試金石となる。

 ◆日米基軸の堅持を◆

 インド洋での海上自衛隊の給油活動について、首相は「来年1月の期限を単純に延長することはない」という。それなら、「単純な延長」以外の方法で、活動を継続する道を探るべきではないか。

 普天間飛行場の移設など在日米軍再編は、日米合意を着実に実施することこそが、沖縄など地元自治体の負担軽減の近道である。

 北朝鮮の核問題では、米国が最近、北朝鮮との対話に応じる姿勢に転じた。北朝鮮を6か国協議に復帰させ、譲歩を勝ち取るには、国連の制裁決議を着実に履行し、圧力をかけ続ける必要がある。

 鳩山首相は、米中韓露との連携を再確認するとともに、北朝鮮に対する貨物検査特別措置法案の早期成立を図るべきだ。

2009年9月17日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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