HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Last-Modified: Wed, 16 Sep 2009 17:38:09 GMT ETag: "14c1b0-442c-5cbce240" Content-Type: text/html Cache-Control: max-age=5 Expires: Thu, 17 Sep 2009 03:21:11 GMT Date: Thu, 17 Sep 2009 03:21:06 GMT Content-Length: 17452 Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 天声人語

天声人語

アサヒ・コム プレミアムなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2009年9月17日(木)付

印刷

 東京都文京区の旧鳩山邸を訪れた。町名から「音羽御殿」と呼ばれた洋館だ。首相だった鳩山一郎は自らの半身不随もあって、大物たちを自宅に呼ぶことが多かった。玄関の階段を上がって右手の第2応接室。主(あるじ)が愛した椅子(いす)と、六つの客用ソファがテーブルを囲んでいる▼54年前、緒方竹虎、三木武吉、大野伴睦、岸信介らが、保守合同で生まれる大政党について論じた部屋である。党名は自由民主か、民主自由か。当時、政治はこの洋間を中心に回っていた▼自由、民主、社会。3語の離合が織りなす戦後の政党史である。二つをつなげて祖父らが旗揚げした党を追い落とし、民主党代表の鳩山由紀夫氏が首相に就いた。「民社国」連立政権が船出した▼閣僚には党幹部や論客が並び、朝まで野党だった割にはなじみの顔が多い。無論、政権交代の評価は、誰がではなく何をやるかにかかる。衆目注視の下、すべてはこれからだ▼新人議員の大群も登院した。こちらはひと夏で売った顔が目立つ。当座は政権を頭数で支える役回りでも、いずれ官僚に負けない専門性を身につけ、世直しの力になってくれようか。与野党が政策を競う中で、利権や情実で動く政治を終わらせたい▼その日、鳩山氏は「未知の世界に遭遇していく。失敗もあろうかと思う。その時はぜひ、内向きにならず外向きに」と仲間に訴えた。そう、新政権が見聞きし、感じるべきは、与党の名に共通する「民」である。くらしの、喜怒哀楽の現場に身を置き、どうか応接間の似合わない政権党であってほしい。

PR情報