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千葉県不正経理 各自治体は「他山の石」とせよ(9月16日付・読売社説)

 5年間で30億円もの不正経理が、千葉県で明るみに出た。徹底的に調査して(うみ)を出し切り、公金を扱う職員の意識向上に努めねばならない。

 事務用品の発注などをめぐる不正経理は、401部署のうち大半の383部署で見つかった。県警や県の監査委員事務局、出納局など不正をチェックすべき部署を含め、県庁全体に蔓延(まんえん)していた。極めて深刻な事態だ。

 最も不正額が多かったのは、事務用品を扱う業者に架空の請求をさせ、代金名目で業者の口座に金をプールしてもらう「預け」という手口で、18億円余りに上る。年度末を控え、予算を使い切ったことにするために横行していた。

 卓球台や将棋盤など業務に必要のない物品の購入、愛人との交際費や高級料亭での飲食費、コンパニオン代に流用されていたものもある。私的流用や使途不明は、約1億1000万円あった。

 自治体の不正経理は昨年秋、国土交通省や農林水産省の補助事業に絡み、12道府県で計11億円余が会計検査院の調べで判明した。

 この中には含まれていなかった千葉県も関連部署の調査を始めたが、全庁的な調査に切り替えたのは、事務用品の発注業務を担当していた県職員が、今年2月に詐欺容疑で逮捕されてからだ。

 事件では3人の県職員が逮捕され、全員が有罪となった。判決が「不正行為を早期に発見できなかった県庁の管理・監督体制にも問題がなかったとは言えない」と指摘したのも、当然だろう。

 各自治体では過去に、食糧費や会議費など様々な費目の予算が不正経理の温床になってきた。千葉県は11月に新組織を設け、全費目の特別監察を実施するという。

 県の調査結果を見れば、監査制度や内部通報制度が機能していなかったのは明らかだ。議会の監視の目も行き届いていなかった。こうした反省を踏まえ、実効性のある監察にすることが肝要だ。

 各自治体も、「他山の石」として自己点検を徹底すべきだ。地方分権を進める上で、自治体は自浄能力を示す必要がある。

 「預け」の背景には、国の補助金は年度内に使わないと返還する必要があるため、使い切った形にしようとするあしき慣行がある。千葉県の調査では、経理担当職員らから補助金や予算を弾力的に使えるよう求める意見もあった。

 厳格な公金管理や適正な予算執行は重要だが、杓子(しゃくし)定規な運用は行政を硬直化させかねない。それを見直す契機でもあろう。

2009年9月16日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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