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リーマン1年 金融再生に教訓を生かせ(9月15日付・読売社説)

 「100年に1度」とも言われた米国発の金融危機は、最悪期を脱しつつある。しかし、再生への道のりは、まだ半ばといえよう。

 米大手証券のリーマン・ブラザーズが昨年9月15日に経営破綻(はたん)してから1年になる。リーマン・ショックは、未曽有の金融危機の引き金になり、世界を深刻な同時不況に陥れた。

 米国で住宅バブルが崩壊し、住宅ローンなどを組み込んだハイリスクな金融商品が暴落した。そうした市場の暴走に、金融当局の対応も遅れた結果だ。

 1年がたち、金融不安はようやく和らぎ、世界の金融・経済情勢は持ち直してきた。

 日米欧と中国などが、大型の景気対策や、異例の金融緩和策などの政策を総動員した。その国際協調が効果を発揮し、危機の連鎖を食い止めた意義は大きい。

 急落した日米欧の株価は現在、リーマン・ショック前の1割減の水準まで回復し、中国など新興国の株価は上昇に転じている。

 景気も回復基調だ。マイナス成長に陥った先進国のうち、日本は4〜6月期にプラス成長に転じ、景気後退が続く米国と欧州も、年内の底入れが見込まれる。中国は約8%の成長率を維持する。

 しかし、危機が完全に去ったわけではない。楽観は禁物だ。

 震源地の米国では、失業率が約10%に上昇している。個人消費の低迷も続き、景気回復力は弱い。再び景気が悪化する「二番底」も懸念される。

 米国経済のもたつきは、日本など世界に打撃となる。世界景気が本格的に回復するまで、景気刺激策を元に戻す「出口戦略」に踏み出すことは時期尚早だろう。

 危機再発を防ぐための金融規制と監督の強化も急務だ。

 オバマ米大統領は、新たな規制改革案を示した。だが、米国内にはこれに反発する動きがある。

 主要20か国・地域(G20)も、金融機関の自己資本比率の見直しや経営陣の報酬制限などの規制の強化を目指すが、利害の対立で国際ルール作りは難航している。

 取り組みの遅れを見透かすように、投機マネーの動きが復活してきたのが気がかりだ。原油、金などの価格が急上昇している。実体経済と遊離したマネーの再膨張を警戒しなければなるまい。

 24日から米ピッツバーグで、G20金融サミットが開かれる。リーマン・ショックの教訓をどう生かすか。金融再生を加速する行動が首脳たちに問われよう。

2009年9月15日01時09分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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