HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 15 Sep 2009 01:17:46 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:JAL再建 外資頼みに終わるな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

JAL再建 外資頼みに終わるな

2009年9月15日

 経営再建中の日本航空(JAL)は世界最大手の米デルタ航空および同二位のアメリカン航空の親会社などと提携交渉に入った。外資を受け入れても、自主再建努力と安全運航を怠ってはならない。

 日航は月内にまとめる予定の再建計画の中で、海外エアラインとの資本・業務提携を柱にする考えだ。数社と交渉に入っているがデルタのほか欧州大手のエールフランス−KLMなども出資する可能性がある。

 仮にデルタ航空と提携すれば日航は主力の太平洋路線などで不採算便から脱却できるため、機材と人員の大幅削減が可能になる。デルタは日航のアジア路線を活用して一段と営業強化が図れる。

 一方、アメリカン航空と提携すれば日航は米国内でアメリカンの路線を積極活用できる。またアメリカンはデルタに比べて出遅れ気味な太平洋・アジア路線を強化できるメリットがある。

 デルタはスカイチーム、アメリカンは日航が加盟しているワンワールドと所属する国際航空連合の違いはある。だが航空自由化(オープンスカイ)が広がる中、日航が生き残るには航空連合の枠にこだわってはいられない。

 外資との提携では国土交通省が積極的に後押ししている。

 日航が作成する再建策の内容と実効性に不安を持っているためだ。かつて日産自動車でカルロス・ゴーン社長(当時)が大胆な合理化策を打ち出して業績を急回復させたように、外資によるショック療法を意図しているのだろう。

 業績は深刻だ。今年四〜六月決算の最終赤字は九百九十億円に達した。年内にさらに一千億円、合理化を推進するためにはその倍以上の資金を調達しなければならないが、資金の貸し手を確保するためにも抜本対策は不可欠だ。

 提携交渉が順調に進み外資導入が決まった場合、当面の危機は回避できよう。だが自らの手による経営再建努力を怠ってはいけない。人件費を含めた全社的な高コスト体質の改善は急務である。

 安全運航を引き続き徹底してもらいたい。一九八五年のジャンボ機墜落事故で同社の安全神話は崩れた。信頼は回復しつつあるが再建中に重大事故発生では会社は立ち直れないだろう。

 民主党政権が近く誕生する。日航の不振は、国が需要の少ない地方空港を乱造したことも一因だ。国際・国内線で全日空との二社体制をどう再構築していくのか。新たな航空政策を展開してほしい。

 

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