HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 14 Sep 2009 22:17:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:新対中外交 協力と主張で再構築を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

新対中外交 協力と主張で再構築を

2009年9月14日

 鳩山新政権にとって日米関係と並ぶ重要な外交課題は、麻生政権の下で事実上後退した日中関係の再構築だ。金融や環境などで協力を深めながら、耳に痛いことも言い合える関係を築いてほしい。

 中国の温家宝首相は九日、北京で経団連の御手洗冨士夫会長らと会見し「民主党指導者が示した対中関係への積極的態度」を称賛した。温首相が新政権への期待を隠さなかったのは、麻生太郎首相の下で日中関係が停滞したためだ。

 米中はオバマ政権発足後、関係を深め、七月末に外交、経済閣僚が一堂に会する「戦略・経済対話」を実現した。日中は、いまだに閣僚級経済対話と次官級戦略対話が個別に開かれるにとどまっている。

 福田康夫前首相は胡錦濤国家主席と信頼関係を築き、昨年六月には懸案だった東シナ海ガス田の共同開発で合意にこぎ着けた。

 しかし、中国で譲歩に批判が高まり、福田氏の政権投げ出しもあって、実務協議は進まず合意は事実上、形ばかりになった。

 麻生首相が価値観を共有する国々との連携を強調する「自由と繁栄の弧」構想を持ち出したのにも中国は不快感を隠さず日中首脳が信頼を築くのは難しかった。

 省エネ、環境対策では昨年来日した胡主席は日本の協力に強い期待を示した。福田政権は「日中環境協力基金」構想を検討したが、麻生政権で中断したままだ。

 特別の対中融資枠をつくり環境協力に乗り出した米国、ドイツに後れを取っている。鳩山政権が果敢に、この問題に取り組めば中国とのビジネスも促すだろう。

 鳩山氏が雑誌で「アジア共通通貨」や「東アジア共同体」を提唱したことは中国も歓迎している。金融危機で中国は国際基軸通貨としてのドル見直しや国際通貨基金(IMF)改革を提起した。

 日本はアジア金融危機(一九九七年)では「アジア通貨基金」構想を提唱したが、今回はIMFに巨額の拠出をしながら改革論議に沈黙している。国際金融体制の改革は避けられない。日本が論議に加われば米国と中国など新興国との調整役も果たせる。

 重要なのは日米関係とアジア外交のバランスを取ることだ。鳩山氏は中国の軍備拡張や人権、民族問題にも関心を持っている。

 日米同盟を後ろ盾に対中協力を強化する一方、隣国の友人として中国の軍拡や人権、民族問題に率直な意見を出せば中国も耳を貸さないわけにはいかないだろう。

 

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