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社説1 景気にも注意して予算刷新の一歩を(9/12)

 16日にも発足する鳩山由紀夫新政権の経済運営で最初の試金石が、2010年度の予算編成だ。自民党支配下の既得権を切り崩し、時代の変化に合う効率的な予算を組むよう期待する。一方で、不安定な景気への目配りも欠かさないでほしい。

 民主党は自民党と公明党の連立政権の方針で各省庁が8月末に出した概算要求を白紙に戻す。予算編成指針は首相直轄の「国家戦略室」で作り、のちに発足する国家戦略局の担当相となる菅直人氏が指揮する。

 民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で、10年度に子ども手当の半額実施(子ども1人当たり月1万3000円)など7兆1000億円の新政策を盛り込んだ。財源を生み出すため、予算の中身を洗い出して無駄を排除すると表明している。

 新設する行政刷新会議が一般会計と特別会計を合わせた予算の中身を点検し、無駄かどうかを判断する。既得権にとらわれず、毎年ほとんど変わらない省庁や事業ごとの予算配分を大胆に変えるのは、政権交代の大きなメリットだ。一方で、民主党がもくろむ規模の財源が本当に生み出せるかどうかは定かでない。

 景気低迷で09年度の一般会計税収は予算額の46兆円台から40兆円近くに落ち込むとも言われている。大幅な歳入不足も懸念されるが、恒久的な支出のために安易に国債を増発しないよう指摘しておきたい。

 重要なのは、従来の予算の構造を徹底的に開示することだ。支出が無駄かどうか、客観基準や十分な判断材料を示すことで、透明で民主的な予算編成ができる。各省庁もデータを出し惜しみしてはならない。

 民主党はまず自公政権の緊急経済対策を反映した15兆円規模の09年度補正予算に手をつける。複数年度にわたる「基金」や施設整備費などから無駄を洗い出す。未執行分は8兆円を超えるもようで、一部を減額補正して財源にあてるという。

 緊急対策では規模を積み上げるための基金が乱立し、効率的に使われていないとの指摘もある。水ぶくれの総点検は大切だが、地方議会では対策を反映した補正予算の議決が進んでおり、強引に規模を絞り込むと地域経済に悪影響を及ぼす。

 主要国は景気刺激策の国際協調を続けている。補正規模を抑制すると、協調に消極的とみなされかねない。丁寧な説明を心がけてほしい。

 政権移行で編成作業が遅れている。予算案の決定が大幅にずれ込むと景気回復にも水を差す。迅速で着実に作業を進め、できるだけ年内に政府案を決めるのが望ましい。

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