HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57448 Content-Type: text/html ETag: "21a861-163f-b13cb900" Expires: Fri, 11 Sep 2009 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 11 Sep 2009 23:21:10 GMT Connection: close 「H2B」1号機 打ち上げ成功で夢が膨らむ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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「H2B」1号機 打ち上げ成功で夢が膨らむ(9月12日付・読売社説)

 人が乗って宇宙に行けそう――。そう思えるほど順調な()(しょう)だった。

 宇宙航空研究開発機構が、国産の新鋭大型ロケット「H2B」1号機の打ち上げに成功した。

 国際宇宙ステーションへと向かう無人輸送機「HTV」も、予定通り軌道に投入できた。

 今後、地上からの遠隔操作で徐々に軌道を修正し、1週間かけてステーションに到着する。無事に荷物を届けられるか。山場はいくつもある。気は抜けない。

 H2Bは、全長56メートル、重さ530トンと、これまでの国産ロケットの中で最も大きい。

 宇宙機構と三菱重工業が共同開発した。大きな特長は、現在の主力ロケットH2Aの第1段エンジンを2基束ねて使い、打ち上げ能力を増やしたことだ。

 既存の技術を生かしたため、開発費は約420億円と、H2Aの半分以下で収まった。大きなトラブルもなく、順調に進んだ。

 大型ロケットの打ち上げ成功もH2Aを含めて、今回で連続10回を数える。

 経験を重ねることの重要性を物語る成果と言える。

 H2Bは今後も、ステーション運用期間中は毎年1回の打ち上げが続く。H2Aも、衛星や探査機の打ち上げに使われる。世界の商用衛星の打ち上げ受注も、長年の悲願となっている。

 今回の打ち上げデータも十分に精査して、さらにロケットの信頼性を向上させるべきだ。

 輸送機への期待も高まる。

 バスの車体がすっぽり入るくらい大きい。全長10メートル、直径4・4メートルで、総重量は16・5トンだ。

 今回は、ステーションに滞在中の宇宙飛行士の食料と生活物資のほか、日、米それぞれの実験装置を搭載している。

 これまで、ステーションへの物資輸送の主役は米スペースシャトルだった。だが、維持費がかさみ退役の日が近づいている。

 ロシア、欧州にも同様の輸送機はある。ただ、大型の機材を搭載できるのは、日本のHTVしかない。それだけに、輸送の成否は世界から注目されている。

 HTVは、ステーションと結合後、宇宙飛行士が出入りする。このため、有人宇宙船並みの安全性を備えている。宇宙機構は、国産初の有人宇宙船開発にも、この技術を生かすという。

 今回の打ち上げで、日本の宇宙技術は新段階に入った。新政権のもとでも、宇宙技術の基盤作りをしっかり後押ししたい。

2009年9月12日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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