HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57357 Content-Type: text/html ETag: "ff23a-15e8-7e6a4100" Expires: Thu, 10 Sep 2009 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 10 Sep 2009 22:21:10 GMT Connection: close 米同時テロ8年 アフガンをテロの巣に戻すな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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米同時テロ8年 アフガンをテロの巣に戻すな(9月11日付・読売社説)

 米国が同盟国と始めたテロとの戦いの前途に暗雲が立ちこめている。

 オバマ米大統領が「必要不可欠な戦争」と呼んだアフガニスタンでの軍事作戦に対し、「オバマのベトナム」になると、泥沼化を懸念する声も出始めたからだ。

 しかし、国際テロの再発を防ぐためには、アフガンをテロ組織の温床となる「破綻(はたん)国家」に逆戻りさせてはならない。

 8年前の米同時テロ以降、アフガンでは、テロを実行した国際テロ組織アル・カーイダの拠点が掃討され、同組織に聖域を与えたタリバン政権も打倒された。

 さらに新憲法の制定や立法・行政制度の整備など、国家再建も形の上では進んだ。

 だが、対テロ戦争は終わっていない。この夏以降、タリバンの反攻が強まり、治安回復を支援する国際治安支援部隊(ISAF)に犠牲者が急増している。

 今年の死者は8月にすでに300人を超え、過去最高だった昨年の死者数を上回った。

 カルザイ大統領率いる現政権の統治は全土に及ばず、政権の腐敗も指摘されている。先月20日の大統領選挙では、数々の不正行為が選管関係者から報告された。

 懸念されるのは、こうした状況の下、支援部隊に兵を出している国々の世論が後ろ向きになり始めたことだ。

 8月の米紙調査によると、米国では、アフガンで「戦う価値はない」とする回答が51%を占めた。英国では52%、ドイツでは69%が早期撤収を求めている。

 イラクに投入した兵力をアフガンに振り向けると同時に、同盟国にアフガン支援増強を求めるオバマ政権にとっては、逆風だ。

 だが、テロとの戦いは、どんなに長く困難であっても、国際社会がそれを放棄することは許されない。一致協力して、戦線を再構築する必要がある。

 その鍵の一つが、オバマ大統領自身が唱える「イスラムとの対話」だ。過激派の主張に一定の共感を示した穏健派イスラム教徒を味方につけ、過激派を孤立させるのが狙いだろう。

 民衆と過激派のつながりを断つには、失業率を減らすなど民生の向上も不可欠になる。

 鳩山新政権は来年1月には、インド洋での海上自衛隊の給油活動から撤収する方針とされる。

 しかし、テロとの戦いは日本の平和と安全にかかわる問題であり、国際協調行動の一翼を担い続けることが肝要だ。

2009年9月11日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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