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社説2 貸し渋り招かぬルールに(9/10)

 主要27カ国・地域の中央銀行と銀行監督当局が、国際的に活動する銀行への自己資本規制を強めることで合意した。普通株式や利益の内部留保だけで、資本の大部分をまかなうように求めた。今月開く20カ国・地域(G20)首脳会議(ピッツバーグ・サミット)で討議を進め、年内にも原案が固まる見通しだ。

 リーマン・ショック後、銀行は損失を吸収する資本の質を高めることが求められている。ただ自己資本規制の強化を急いだ場合、貸し渋りを招き景気を再び冷やすリスクもある。規制が経済全体に与える影響も慎重に考慮すべきで、銀行融資の比重の高い日本としてはルール作りに、こうした観点を盛り込むよう積極的に働きかける必要がある。

 新しい自己資本規制では、貸し出しなどリスク資産に対し、普通株や内部留保の比率を4%以上確保することが求められるとの観測が有力だ。邦銀は普通株の比率が米国の主要銀行に比べて低く、4%を下回っている大手銀行グループもある。中核的な資本を厚くするには、何よりも本業の利益を増やす必要がある。

 日本は欧米に比べ企業向け融資の利ざやが薄い。ならば利ざやが厚い海外融資を伸ばし、投資信託の販売に力を入れ直して手数料収入を増やすのも一案だ。自己資本規制の強化は、日本の銀行業の姿を変えると同時に、貯蓄から投資へという流れの重要性を再確認させる。

 銀行が企業の株式を長期保有する金融慣行も見直しを迫られよう。現行の国際決済銀行(BIS)規制では、株式は含み益の45%を自己資本比率の補完的な要素として算入できる。しかし監督当局や市場の関心が中核的な自己資本に絞られる今、含み益の意義は弱くなった。逆に株式の値下がりで損失が出れば、中核的な自己資本を傷めてしまう。

 今後、銀行は普通株での増資を進める必要が出て来ようが、普通株主は経営のかじ取りに注文をつける強い権利を持っている。その場合、何より変わるのは、銀行の経営が株式市場の発するメッセージに敏感にならざるをえなくなる点だ。銀行に対する市場による企業統治が強まれば、採算の合わない融資や株式保有を続けるのは難しくなる。

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