HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 09 Sep 2009 22:17:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:公明党 克服できるか“与党癖”:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

公明党 克服できるか“与党癖”

2009年9月9日

 敗戦処理に手間取る自民党より一足早く、衆院選の同じ敗者、公明党が新体制を発足させた。自公連立十年で染み付いた“与党癖”をぬぐえるかがポイントだ。平和と福祉の原点に戻って立て直せ。

 新代表に就任した山口那津男氏は、かつて衆院東京17区で自民の平沢勝栄氏と争って二度敗れ、参院に転じて議席を得ている。

 その参院東京選挙区では八年前と二年前の二度続けて、自民を含む他党候補と戦った。自公の選挙協力と縁遠かった履歴の代表登板は、取りざたされる「自民離れ」を象徴しているように見える。

 山口代表は新幹事長の井上義久氏とともに早速、来年の参院選を勝つ陣立てを迫られる。

 今回衆院選で公明は、現職の代表、幹事長らが立った小選挙区八議席をすべて失い、比例代表だけの党になった。反自民の嵐に巻き込まれ、連立実績もマイナスに作用して、創価学会の固い支持基盤でも太刀打ちできなかった。

 新執行部に連立十年の総括をきちんとして再建に着手するよう期待する。連立与党として苦渋の決断もあったであろう過去二代の執行部は不本意かもしれないが、政権交代を求めた有権者の目には、公明が「たそがれる自民の補完勢力」と映っていたのではないかと思われるからである。

 「平和と福祉」「大衆と共に」を掲げる党が、小泉政権のイラク戦争支持を後押しし、市場万能主義のまん延を止められず、衆参のねじれ状況で起きた自民首相の投げ出しを容認した。法案の衆院再議決乱発を可能にして民心を倦(う)ませたのも、政権維持を至上命令とした結果だったのではないか。

 与党癖は中央政界だけでない。この十年が地方議会での公明の保守与党化を進展させた。権力は腐敗する。しがらみにとらわれるようになれば、党勢が頭打ちになるのも自然な流れだろう。党立て直しは地方を除外して語れない。

 結党の原点に戻り、健全な野党としての再出発を求める。

 折から創価学会トップが、核兵器廃絶、核に依存しない安全保障を唱えた。党と学会一体の関係に疑念を抱く向きは少なくないが、その発言に党が原点を再認識するとしたら、大方の理解は得られることだろう。

 国会は一転、民主党多数の政権与党が牛耳る。新執行部は安易な妥協に走ることなく、権力監視に持ち前の情報力、行動力を発揮して鋭い論陣を張るべきである。

 

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