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公明党再出発―政策本位で第三極めざせ

 代表、幹事長が総選挙でよもやの落選を喫した公明党が、新しい執行部体制で再スタートを切る。

 辞任した太田昭宏前代表の後任は参院議員の山口那津男氏だ。井上義久・新幹事長とともに、10年ぶりに野党となる党のかじ取りを担う。

 それにしても厳しい選挙結果だった。衆院での21議席は、1967年に衆院に進出して以来の最低だ。自民党との選挙協力で臨んだ八つの小選挙区は全敗で、太田氏ら党の要だけでなく、政策に通じた中堅議員も次々に落選の憂き目を見た。

 何より自民党への大逆風のあおりを食ったのは間違いない。組織を引き締めるという理由から、小選挙区と比例区との重複立候補を避けた戦略ミスを悔やむ声も党内にはある。

 公明党は特別国会の首相指名で、山口氏に投票するという。これで、99年から続いた自公連立は幕を閉じる。自民党との選挙協力も、大きく見直すことになりそうだ。

 連立10年の歴史は、自民党衰退の歴史と重なる。

 自民党が連立を求めたきっかけは、98年参院選での惨敗だ。過半数を確保するためにというのが本来の目的だったはずが、いつの間にか創価学会の固い組織票をあてこんだ選挙協力が主目的になっていった。

 公明党にとっても、比例票を積み増し、小選挙区で議席をとるには自民との選挙協力は不可欠となった。児童手当の拡充など党が掲げる政策を実現させた一方で、首相の靖国神社参拝や自衛隊のイラク派遣をのまされもした。

 10年の歳月の中で、平和や福祉を重視し、清潔な政治を目指すという立党の理念がぼやけてしまい、与党であり続けることが前面に出すぎたのではなかったか。そこが、変革を望む有権者に敬遠された大きな原因だろう。

 野党に戻る公明党の進む道ははっきりしている。経済の先行きが不透明な中で、少子高齢化が進行する。この日本社会で格差をどう是正し、福祉の網を広げていくか。平和を守るための外交を強めていく。つまりは原点に立ち返って行動していくことだ。

 衆院選候補者の意識を探った朝日・東大調査を見ると、外交や安全保障、「大きな政府か小さな政府か」といった基本的な政策をめぐる公明党の立ち位置は、実は自民党よりもむしろ民主党に近い。

 民主党中心の政権ができれば、国立追悼施設の建設や永住外国人の地方参政権など、自公連立政権ではかなわなかった公明党の政策が実現される可能性も出てこよう。

 政策では、堂々と是々非々の立場を追求すべきだ。それが党の性格を鮮明にし、2大政党時代に必要な第三極のあり方を示すことになる。

MS対グーグル―激闘が開くIT新時代

 世界同時不況のさなかでもIT(情報技術)産業の覇権争いが熱い。

 おなじみの「ウィンドウズ」でパソコンの基本ソフト(OS)市場を牛耳るマイクロソフト(MS)と、ネット検索に広告を結びつけて高収益を上げるグーグルの激突だ。

 MSは米国でネット検索2位のヤフーとの提携を決めた。MSの検索技術をヤフーに供与し、広告収入を分け合う。米国での検索シェアは3割近くになり、6割超のグーグルを追う。

 対するグーグルはMSの金城湯池であるパソコンのOS市場に殴り込みをかける。性能が低いパソコンでもインターネットを使いやすくして販路を広げる。文書作成ソフトや表計算ソフト、電子メールサービスもネット経由で無料提供するという。

 熾烈(しれつ)な攻防は、ITの使い方の大きな変化をにらんだ動きである。これまでの主流は、パソコンにさまざまなソフトや情報を蓄え、ネットで結んで情報をやりとりするという使い方だ。MSはウィンドウズの成功で時代の覇者になった。

 ところが、最近はソフトや情報をパソコン内ではなくネット上にあるコンピューターシステムに格納し、必要な時にネット経由でパソコンに取り寄せて使う方式が広がりつつある。ネットを雲にたとえた「クラウド・コンピューティング」と呼ばれる流れだ。

 グーグルはその主導役なのだ。ネットにつなげて使うことに割り切った低価格のパソコン「ネットブック」も売れている。

 ヤフーとの提携は、MSがクラウドの土俵でグーグルに対抗するための必須条件だった。ウィンドウズという屋台骨を守りながら、新たな成長分野を取り込む戦略とみられる。

 両雄の激しい競争のうちに、クラウドへの流れは加速するだろう。

 半面、クラウドが抱える問題点も膨らむ。グーグルに対しては、ネットを通じて世界中から集めた利用者の情報を囲い込む「情報支配」への懸念が以前から指摘されてきた。プライバシーは守られるのか。利用者が不利な立場に追い込まれないか。

 そうした懸念を解くためにクラウドの巨人をどう監視するかは、両社が本社を置く米国はもちろん、国際的にも議論していく必要がある。

 日本では巨人たちに対抗する勢力の登場は期待薄で、従来型のIT産業は大きな影響を受けるだろう。一方、利用者としては、企業も個人もIT投資を大幅に節約して高度なサービスを受けられる道が広がる。

 日本は通信インフラは世界一流なのに、ITサービスの利用は伸び悩んでいる。この状況を克服する契機となるかも知れない。課題も多いクラウドだが、普及を前提に賢く使いたい。

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