HTTP/1.0 200 OK Age: 6 Accept-Ranges: bytes Date: Mon, 07 Sep 2009 20:21:01 GMT Content-Length: 8411 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Sun, 06 Sep 2009 14:52:18 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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社説2 リビアの変化を見逃すな(9/7)

 北アフリカの産油国リビアで革命が起きてから、この9月で40年。革命を主導したカダフィ大佐は実質的な元首として今も実権を握る。イスラムと民族主義に立脚し直接民主主義を目指すという政治路線と、指導者の過激な言動によって、リビアは長年、奇異な存在とみられてきた。

 そのリビアが米国や欧州連合(EU)諸国と関係改善を進め、急速に変わりつつある。独裁と非効率な行政が続く一方で、経済では改革開放を目指すようになった。リビアをめぐる国際環境の変化に日本もより大きな関心を抱く必要がある。

 リビアは反米テロへの関与で1986年に米軍の空爆を受け、88年に英スコットランド上空で起きたパンナム機爆破への関与で国連安全保障理事会から制裁措置を科された。孤立を深めたリビアの転機は、2003年に核を含む大量破壊兵器の開発放棄を米英に約束したことだ。

 これを受けて米国はリビアとの関係を正常化し、テロ支援国家指定も解除した。リビアも外国資本の投資を受け入れる政策に転じた。

 近年、EU諸国の首脳や閣僚のリビア訪問が目立つ。昨年9月にはライス米国務長官(当時)も訪れた。北朝鮮やイランへの対応とからんで欧米は核開発を放棄したリビアへの協力姿勢を明確にしている。

 EUには、ロシアに大きく依存する天然ガスの供給源を広げ、形成途上の環地中海自由貿易圏にリビアを取り込む戦略的な狙いもある。

 8月にスコットランドで服役中のパンナム機爆破事件の受刑者が病気を理由に釈放され、リビアが帰国を盛大に歓迎したことに米国が反発した。その影響もあって、主要国首脳は1日の革命40周年記念式典出席を見合わせた。だが、リビアとの関係強化は大きな流れになっている。

 リビア側は「期待したほど主要国からの投資が増えない」との不満も示すが、投資については国際ビジネスへの習熟や意思決定の透明化などリビア側が改善すべき点が多い。

 こうした問題も踏まえてリビアの金融近代化に日本が協力することになり、石油・ガス開発への日本企業の参入も始まった。他の主要国と比べて遅れ気味の要人訪問がリビアへの対応で日本の課題になろう。

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