HTTP/1.0 200 OK Age: 2 Accept-Ranges: bytes Date: Mon, 07 Sep 2009 21:22:22 GMT Content-Length: 7625 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Sun, 06 Sep 2009 14:52:18 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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春秋(9/7)

 歯の中に小さな石が隠れていることがある。象牙質の硬い部分の内側に、なぜか米粒ほどの結石ができる。虫歯でもないのに跳びはねして痛むときは、この石ころの仕業かもしれない。「デンティクル」と呼ばれる不思議な小石である。

▼X線で撮った写真が面白い。立派で健康な歯なのに、中心部にぼんやり白く姿が映る。外側をさんざん検査した末に小石を発見すると、宝石を発掘した気分で思わずニヤリとしてしまう。そんな歯医者さんの打ち明け話を聞いた。見えない場所に鎮座して、おし黙ったまま歯の神経を支配する難しい存在でもある。

▼新政権が誕生し、自民党が野に下る。どちらも新体制の陣容固めに忙しい。おなじみの名前もあれば、新しい顔もある。人間の組織も、表面からは内部の力の構造が見えにくいことがある。民主党の幹事長には小沢一郎氏が就く。普段多くを語る人ではないが、党の根幹でどんな力を振るうのか気になるところだ。

▼歯科のデンティクルは見つけた後の治療が難しい。取り除くには、歯を傷つけて突貫工事をしなければならない。そのままそっとしておいてほしい、と言う患者も多いそうだ。何年もかけて育った石を大事にしたい気持ちになるらしい。とはいえ歯痛が激しくなるのでは困る。日ごろからX線で透視するしかない。

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