HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 07 Sep 2009 00:17:53 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:北朝鮮の核 『脅し』では制裁が続く:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

北朝鮮の核 『脅し』では制裁が続く

2009年9月7日

 対話攻勢と思ったら、今度は揺さぶり戦術だ。北朝鮮は国連安保理決議による各国の経済制裁の解除を求めているようだが、むしろ逆効果だ。「核放棄」へ進むしかない。

 「ウラン濃縮実験に成功し、最終段階に達した」「抽出されたプルトニウムが兵器化されている」

 北朝鮮の国連代表部は、国連安保理議長に書簡を送り、経済制裁の不当性を訴えた。同時に「持続させるなら、別の強硬対応措置を講じざるをえなくなる」と強硬姿勢を強調する。

 北朝鮮がウラン濃縮実験の成功を公式に表明したのは初めてだ。真偽のほどは不明だが、核開発は、さる五月の核実験に対する国連安保理の決議に逆行しており、極めて遺憾だ。

 北朝鮮は「核」を材料にした脅しや揺さぶりをやめ、「核放棄」を進めない限り、経済制裁は続くと認識した方がいい。

 書簡は、経済制裁解除と米朝対話を狙ったものだ。六カ国協議再開に向け中国、韓国、日本の歴訪を始めた米国の北朝鮮問題担当、ボズワース特別代表の動きへのけん制もあるだろう。

 それにしても、北朝鮮の動きは慌ただしい。米国のクリントン元大統領や韓国の財閥代表、中国の武大偉外務次官を平壌に招き、対話攻勢をかけたばかりだ。

 これに対して、周辺国は「根本的変化でなく戦術的変化にすぎない」(玄仁沢韓国統一相)とみており、米国は北朝鮮の金融機関への追加制裁を実施した。中国も金融、特にドル取引を厳しく規制しているという情報もある。

 こうした動きに焦っての書簡だろうが、経済制裁が確実に効果をあげている裏付けでもある。

 北朝鮮は近く終わる「百五十日戦闘」で経済立て直しを図っている。健康不安を抱える金正日総書記にとって権力世襲が課題だが、いずれも先行き不透明だ。

 北朝鮮のさまざまな戦術は周辺国の離間も狙いだ。「核放棄」に向けて周辺国は、ほぼ足並みをそろえている。意思疎通をおろそかにしてはいけない。

 時あたかも、日本では政権移行の真っ最中だ。新たに国家運営に当たる民主党も北朝鮮の核・ミサイルを「断じて容認できない」という点で違いはない。拉致問題も重要課題と位置づけている。

 効率よく政策の引き継ぎをするとともに、外務省とも調整して、周辺国との連携に遺漏のないよう格段の留意をしてほしい。

 

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