ふだん、世話になっているのに、お祝いも言わずに過ぎてしまった。この二日は、インターネットの、ちょうど四十回目の誕生日であったらしい▼米カリフォルニア大ロサンゼルス校が、二台のコンピューター間で世界初の電子データの送受信に成功したのが、一九六九年の同日。正確にはインターネットの原型であるアーパネットの実験で、米国防総省からの委託研究だった▼離れた二つの場所での送受信成功はほぼ二カ月後。米メディアによれば、この時は「logon」の言葉を送信したが、何とか最初の二文字を送ったところでダウンしてしまったという。何か、少しほのぼのとした話だ▼七〇年代の電子メール登場、九〇年代のウェブの出現など技術革新を経て、インターネットが世界の津々浦々へ広がっていったのは、ご案内の通り。現在、十五億人を超える利用者がいるともされる▼利点は挙げればきりがないが、ウイルスや違法なアクセス、流通量の大半を占める迷惑メールなど困った問題も多い。犯罪やいじめの道具にもなれば、中毒者も生み出す。当初からの理念である「開放性」を否定するような企業の縄張り争いも▼これらを呼んでAP通信が曰(いわ)く、「中年の危機」と。インターネット自体も、それを使う方もまだまだ模索を続けていくということだろう。四十歳でも、なかなか「不惑」とはいかない。