HTTP/1.0 200 OK Age: 21 Accept-Ranges: bytes Date: Sat, 05 Sep 2009 00:21:04 GMT Content-Length: 8389 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Fri, 04 Sep 2009 14:11:31 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

社説2 上海株を揺さぶる疑心暗鬼(9/5)

 中国の株式相場が神経質な動きを見せている。あおりを受けて日本をはじめ海外の株式相場が動揺する場面も目立つ。世界景気が「中国頼み」の様相を強めているだけに、中国株が世界の注目の的になっている。

 中国の株式相場の指標である上海総合指数は3月から7月にかけてほぼ一本調子に上昇し、昨年11月につけた安値に比べ倍以上の水準の3400台を回復した。

 それが8月は一転して22%下がった。なかでも31日は過去3年間で最大の下落率を記録し、前日の衆院選挙で民主党が大勝したのを受けて一時的に年初来高値をつけた日経平均が下落に転じる一因となるなど、世界的な株安をもたらした。

 中国株が8月に急落した最大の原因は、景気対策として強力に金融緩和を進めてきた中国政府が引き締め政策に転換するのではないかとの警戒感の浮上だ。背景には、世界的な「出口戦略」の議論がある。

 今年前半は世界的に株高が進んだが、最大の原動力は実体経済や企業業績の回復ではなく各国の金融緩和政策だった。将来のバブルを防ぐための「出口戦略」を求める声は強く、株も不動産もバブルの様相を見せ始めている中国の政策が関心を集めるのは当然ともいえる。

 ただ、中国政府は「適度に緩やかな金融政策」という基本方針は維持すると繰り返し強調している。温家宝首相は今月1日、訪中したゼーリック世界銀行総裁に「政策の方向は変えない」と述べた。

 実際、政府は昨秋までのような銀行融資の総量規制には踏み切っていない。中小企業への融資はむしろ増やすよう銀行に指導している。政策への疑心暗鬼が8月の株安をもたらした面は否定できず、市場との対話の仕方を政府は問われている。

 今月3日、上海総合指数は前日比5%近く上昇し、過去半年で最大の上げ幅を記録した。今後の新規株式公開の計画を政府が凍結・延期するとの観測が浮上したためだ。

 中国株は国際的な資金の流れの影響をうけにくいが、半面で中国の国内政策に関する憶測などに敏感に反応する傾向が強い。世界の投資家は中国株の動きの裏側を冷静に見極める力を養う必要があろう。

社説・春秋記事一覧