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WTO交渉 仕切り直しで合意を目指せ(9月4日付・読売社説)

 約8年も難航してきた貿易自由化交渉の仕切り直しだ。(こう)(ちゃく)状態を打開し、最終合意を目指す必要があろう。

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の非公式閣僚会合がインドで始まった。昨年7月に合意寸前で決裂して以来、1年2か月ぶりだ。日本を除く米欧、途上国の閣僚がそろった。

 今回注目されるのは、オバマ米政権が初めて交渉に臨むことだ。米国は昨秋の大統領選挙と政権交代で体制が整わず、交渉の停滞を招いた。新体制のもと、柔軟姿勢に転じるのかどうか。

 議長を務めるインドも担当大臣が交代し、これまでの強硬姿勢に変化の兆しがある。米印両国が妥協点を模索することが交渉前進のカギを握ろう。

 2001年に始まった交渉は、日米欧と途上国の利害が対立し、挫折を繰り返した。昨夏の決裂の主因は、自国産業を守りたいインドが、緊急輸入制限(セーフガード)の発動要件を緩めるよう要求し、米国が反発したためだ。

 それから1年後の今夏の主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)で、主要8か国(G8)と中国、インドなどが「2010年中の最終合意を目指す」と宣言した。

 かつての世界恐慌は、各国が保護貿易主義に走って深刻化した。昨年来の金融危機と世界不況を克服するには、教訓を生かして保護主義を排し、自由貿易を推進しなければならない。

 その危機感が、新ラウンド再開を各国に促した。インド会合では、サミット宣言に沿って交渉を本格化させることが課題となる。

 残念なのは、政権移行期と重なった日本の閣僚の欠席だ。仕切り直しの会合なのに、存在感を示す機会を失った。

 新ラウンドは、日本がコメなどの農業分野の一層の市場開放を迫られる厳しい交渉だ。

 日本は国内農業への打撃を最小限にとどめることを狙うが、昨夏の合意案では主張が退けられた。今後も困難な交渉が予想される中、最初に閣僚が欠席では、巻き返しも容易でない。

 問われるのは、新政権の通商政策だ。民主党は総選挙前に掲げた政策集で、「新ラウンドの早期妥結」を打ち出した。しかし、農業の国際競争力をどう強化し、市場開放に対処していくか、具体的な政策を示していない。

 本格的な交渉を控え、新政権は重い課題を背負いながら、待ったなしの対応を迫られている。

2009年9月4日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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