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社説2 消費者庁に求めるもの(9/4)

 消費者庁が発足した。食の安全や暮らしの安心を脅かす事故の多発を受け、行政を生産者優先から消費者重視へ転換する役割を担う。昨年は観光庁ができた。新たな行政需要に組織の新設でこたえるのは一つの方法だが、それが本当に機能するか、組織全体の肥大化につながっていないか、などの継続的監視も要る。

 消費者庁で最も重要なのは情報の一元管理だ。中国製冷凍ギョーザの中毒事故は保健所から厚生労働省に情報が届くのに1カ月もかかり、パロマ瞬間湯沸かし器による死亡事故は20年も放置された。

 生命や身体にかかわる重大事故は、自治体や行政機関が直ちに消費者庁に届け出るようになった。自治体の消費生活センターに入った悪質商法などの情報も、コンピューターネットワークで集約する。

 必要な情報は直ちに公表し、消費者行政の司令塔として他省庁に迅速な対応を促す。自ら事業者に勧告や命令、立ち入りもする。

 こうした機能が十分発揮されるかは消費者庁の実力次第だ。約200人の職員の大半は、他省庁から移ってきた寄り合い所帯だ。地方に実動部隊をもたず、自治体や他省庁の出先機関に頼る。

 だからこそ職員の意欲と能力、他省庁との連携が重要だ。悪質な企業や従わない省庁があれば直ちに情報を公開し、存在感を示せばいい。

 消費者に身近な自治体の相談窓口の強化も欠かせない。全国共通の電話番号「消費者ホットライン」の開設も早急に進めたい。行政を監視する消費者委員会をきちんと機能させ、一方で「消費者利益」を押し立て企業の創意工夫を妨げる規制官庁にならない注意も大切だ。

 9月発足を急いだ与党の思惑が混乱も招いている。民主党は元内閣府事務次官の内田俊一長官の就任に反発し、交代も示唆する。年間8億円にものぼる新庁舎の家賃にも批判的だ。発足直前には消費者委員会委員長に内定していた住田裕子弁護士が辞退する騒ぎもあった。

 大切なのは国民が期待する消費者行政の実現だ。そのためには人事も庁舎変更もあってしかるべきだろうが、新政権は本来の目的を忘れず新組織を軌道に乗せる責任がある。

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