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9月3日付 編集手帳

 その昔、東京・浅草に()()を商う店があり、いまで言えばシャッターにあたる大戸をいつも半開きにして営業していた。中は薄暗く、店側も客も不自由したことだろう◆先代のときに火事を出し、息子に店を譲ったあとも、息子一代の間は謹慎の心をこめて半開きの営業をつづけさせたのだという。劇作家の高田保が「火の用心」という随筆に書いている◆政権交代を後押ししたのは官僚不信の猛火であり、火元をたどれば年金の社会保険庁とともに事故米の農水省に行き当たる。業者の不正を告げる情報を握りながら大甘の検査で見過ごした無気力な仕事ぶりに、あきれた方は多かろう◆昨年9月に引責辞任した農水省の前次官が、省所管の社団法人会長に就任した。味噌屋さんを見習えとは言わないが、謹慎の心はどこへやら、民主党政権が発足する前に駆け込みで天下りとは、もらい火で焼け落ちた自民党もなめられたものである◆()(うた)に〈小言聞くときゃ頭をお下げ 下げりゃ意見が通り越す〉とある。通り越したと読んだのであれば了見違いだろう。霞が関の受ける荒療治がもっと手荒くなるだけである。

2009年9月3日01時33分  読売新聞)
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