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9月2日付 編集手帳

 流罪に等しい左遷の処分を受けた人にして、この気魄(きはく)はどうだろう。アヘンの害毒を除くべく果敢な措置を講じたことを逆に(とが)められ、清国皇帝から大臣の職を解任された林則徐(りんそくじょ)は、任地・新疆に向かう旅で詩を残している◆〈我の来たるは別に征途の感あり/衰齢の(ため)賜環(しかん)をのぞまず〉。「賜環」とは罪を許されることを言う。失意の旅ではなく、国のために新しい戦場へ赴くような心地がする。老齢を理由に赦免など望みはしない、と◆するべきことをして皇帝に嫌われたその人と、するべきことをしないで有権者に嫌われた自民党と、左遷の経緯は似ても似つかないが、せめて旅立つ心組みぐらいは似せてほしいものである◆自民党は総裁選を今月末に先送りするという。特別国会の首相指名選挙では、辞意を表明している現総裁の麻生首相を形ばかり推挙するつもりらしい。あれこれ理由はつけても、歴史的惨敗の放心状態が少し薄れるまでは、新しい戦場に出向くのは勘弁して――ということだろう◆この期に及んで麻生さんに1票を投じる集団に、「征途の感」はどうやら無い物ねだりのようである。

2009年9月2日01時41分  読売新聞)
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