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きょう投票 1票が日本の進路を決める(8月30日付・読売社説)

 日本の(かじ)取りを委ねるのにふさわしい政党はどこか、候補者は誰か。有権者の1票が日本の進路を左右する。

 きょう30日、第45回衆院選が投票日を迎えた。

 自民、公明両党の現政権の継続か、民主党を基軸とする新政権の誕生か。今回の選挙戦では、各政党の実績、政策の評価に加えて、選挙後の政権の選択が大きな焦点となった。

 自民党にとっては、強い逆風の下の選挙戦だった。

 小泉政権下の前回衆院選での圧勝の後、安倍、福田、麻生と首相が3度も交代し、「政権たらい回し」の批判は根強かった。

 麻生首相も、昨年9月の政権発足以来、定額給付金の性格付けを始めとして、節目で発言のぶれや優柔不断さを露呈し、そのたびに自民党の支持率を押し下げた。

 民主党に対しても、保守系から旧社会党出身までを党内に抱えた「寄り合い所帯」に起因する統治能力への疑問や、安全保障政策で開きのある社民党との連立を志向することへの不安などが、指摘された。

 有権者にとっては、自公政権か民主基軸政権かの積極的な選択というより、「自民党への不満か、民主党への不安か」の消極的な選択でしかない選挙だという指摘もある。

 しかし、衆院選の結果は、これからの日本の進路に直結する。不満であるとか、不安であるとかいった気分や、一時のムードで、決めていいはずがあるまい。

 有権者が投票の第一の判断基準とすべきは、やはり政策だ。

 ◆政策を冷静に見極めよ◆

 各政党とも、衆院議員の任期である4年間に実施する政策を網羅した政権公約(マニフェスト)を掲げて選挙に臨んだ。

 中でも、少子高齢化が進む中で、有権者の関心が高い年金・医療、子育て・教育などの政策や、その財源の手当てが、主要な争点に浮上した。

 自民党は、社会保障の安定財源として、消費税率引き上げを含む税制抜本改革に取り組むと強調した。引き上げの時期は、年率2%の経済成長が達成されてからとしたが、明示は避けた。

 民主党は、「子ども手当」など多くの直接給付型の家計支援策を掲げた。財源は、不要不急な事業の中止など徹底した歳出削減で捻出(ねんしゅつ)し、消費税率は次の衆院選まで据え置くとした。

 インド洋における海上自衛隊の給油活動を継続するか否かなど、外交・安全保障政策でも各党の主張の違いは顕著だ。

 どの主張に説得力があるか、冷静に見極めることが大事だ。有権者には、各党の政策を十分に吟味してもらいたい。

 ◆党首力はどちらに軍配◆

 政策の選択と同様に重要なのが、党首の選択である。

 自公両党が過半数を確保すれば麻生首相が続投する。民主党など野党が過半数を奪えば、「鳩山首相」が誕生するだろう。

 麻生首相は、民主党の外交・安保政策が曖昧(あいまい)であるなどと批判して、自民党こそ「責任力」ある政党だと主張した。鳩山代表は、自民党政権の下では官僚主導の政治が続くとして、「国民本位」の政権への交代を訴えた。

 途中で衆院解散や首相交代がなければ、向こう4年間、この国の舵取りを担う指導者を選ぶ選挙である。両党首が選挙戦を通じて、どのような発言をしたかも思い起こしたい。

 比例選は投票用紙に政党名を書き、小選挙区選では候補者名だ。各候補者の政治家としての資質も、大事な判断の要素だ。

 解散まで現職議員だった候補者であれば、これまでの実績や国会での活動ぶりが、一つの手がかりとなろう。新人候補の場合も、選挙公報などから浮かび上がる政見に目を凝らしたい。

 民主政治では国民が主権者だ。有権者は、各党の政策、党首の力量、各候補の識見を総合的に判断し、自らの1票を責任をもって投じてほしい。

 ◆若者こそ選挙に関心を◆

 今回の選挙では、期日前投票をした人が飛躍的に増えた。選挙に対する有権者の関心の高さの表れだろう。読売新聞の全国世論調査でも、「必ず投票に行く」と答えた人は79%に上った。

 だが、20歳代に限ると、56%にとどまる。若い世代が「投票しても政治は変わらない」などとあきらめているのだとしたら、きわめて残念だ。

 今回の選挙でも重要な論点となった社会保障制度改革や雇用対策などは、いずれも無関心ではいられない問題だ。

 若い人たちには、自分たちの将来を自ら選び取る気持ちで、投票所に足を向けてもらいたい。

2009年8月30日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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