HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 31 Aug 2009 01:18:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:チュニジアの首都チュニス近郊に、フェニキア人がつくった古代…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年8月31日

 チュニジアの首都チュニス近郊に、フェニキア人がつくった古代国家カルタゴがあった。第三次ポエニ戦争で紀元前一四六年にローマに滅ぼされ、都市は完全に破壊された▼太平洋戦争末期、一億玉砕論が渦巻く中、戦争を終結に導いた鈴木貫太郎首相の頭には、カルタゴの滅亡があった。戦争に負けても民族に力があれば再興できるが、国がなくなれば何も残らない−と▼この逸話を思い出したのは、千葉県野田市の鈴木貫太郎記念館前での麻生太郎首相の街頭演説をニュースで聞いた時だ。祖父の元首相吉田茂が一九四六年に首相を拝命した際、鈴木から「(戦争は)負けっぷりは良くせにゃいかん」と言われたと首相は明かした▼選挙期間中に意味深長な発言だと話題になったが、総選挙で自民党は衆院の議席を半分以下に減らした。この負けっぷりは二人の元首相が生きていればどう評するだろう▼新人候補が与党の大物議員を次々と破った民主党の圧勝は、民意が塊となって動く小選挙区制の力学を見せつけたが、民主党の政策への支持というより、与党への不満というマグマが、大爆発した感がある▼細川政権の教訓もあり、政権は短命では終わらないだろう。落選した大物議員の一部は比例代表で復活当選したが、野党暮らしに耐えられない議員が党を飛び出せば、それこそ自民党はカルタゴになりかねない。

 

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