HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 29 Aug 2009 22:18:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:09年衆院選 環境も家計も考えよう :社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

09年衆院選 環境も家計も考えよう 

2009年8月29日

 温暖化対策は待ったなしだという。関心も高まった。しかし、生活者にも何らかの負担を伴うためか、選挙戦での主張は弱かった。今や、環境はちゃんと票になる。未来を考え、票を投じたい。

 京都議定書の次の温室効果ガス削減目標を決めるコペンハーゲン会議が年末に迫り、その前提として、麻生太郎首相は六月に自ら、二〇二〇年までに温室効果ガスの排出量を〇五年比15%(一九九〇年比8%)削減という中期目標を発表した。地球の未来にかかわる重要な節目を前に、それをどう実現するかを競う環境政策が、大きな争点になるはずだった。

 各党のマニフェストにも、中期目標の数値が並んでいる。

 自民は政府の発表通りだ。そのために、太陽光発電の導入量を二〇年までに二十倍に引き上げるという。同じ与党の公明は、九〇年比25%と自民よりも踏み込んだ。共産、社民はともに同30%とさらに上を行く。政府目標が、科学的知見に基づく国際的な要求水準に達しないという批判を受けての上積みである。

 だが、選挙戦に入って各党の主張を聞く限り、温暖化対策の優先順位は低い。高い削減目標を掲げる民主でさえ、明らかに矛盾する高速道路の無料化の方に、力点を置いているようにも見える。

 例えば、風力なども含めた自然エネルギーの普及のために、電力会社に高価な買い取りを義務付ければ、その費用は電気料金の値上げになって家計に跳ね返る。

 環境対策、特に温暖化対策は経済成長の妨げになるという不安は、産業界だけでなく、国民の間にも根強くある。政権交代が最大の争点になり、バラマキ合戦の様相を呈する展開の中では、強く主張しにくいらしい。

 しかし、環境、特に温暖化対策こそ“未来への種まき”だ。今適切な対策をとらないと、将来の負担は計り知れないものになる。エコ市場への先行投資が景気、雇用対策に有効なのは、オバマ米大統領のグリーンニューディール政策を持ち出すまでもない。

 環境は票にならないといわれてきた。しかし、世界自然保護基金(WWF)や気候ネットワークなどの環境団体が、七月中旬から下旬にかけて、二十歳以上を対象に無作為抽出で実施した調査では、温暖化対策に積極的な候補に投票したいという人が、76%にも上っている。有権者は目の前だけを見ているわけではない。

 

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