HTTP/1.0 200 OK Age: 116 Accept-Ranges: bytes Date: Sun, 30 Aug 2009 00:19:14 GMT Content-Length: 7627 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Sat, 29 Aug 2009 14:35:05 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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春秋(8/30)

 昔の本紙縮刷版をめくっていたら、こんな見出しが躍っていた。「1人当たり国民所得、20年後は世界一」。1969年に大蔵省が試算した推計だ。当時の日本は20位。推計通りなら欧米諸国を抜き、90年前後に1位になるはずだった。

▼無理もない。ちょうど40年前の日本は「いざなぎ景気」と呼ばれた高度経済成長の真っただ中。この年、経済企画庁は前年68年の国民総生産が西独を抜き、自由世界で第2位の経済大国になったと公表した。経済白書も「豊かさへの挑戦」が副題に。21世紀は日本の世紀と、誰もが右肩上がりの成長を信じていた。

▼「政治は三流、経済一流」でいい。知日派の政治学者、ジェラルド・カーティスさんは当時の世相をこう振り返る。「高度成長を続ける経済政策をうまく運営してくれる政権であれば十分だという意識が日本国民に支配的」だったと、著書「政治と秋刀魚」にある。だが、40年間で日本の風景はがらりと変わった。

▼1人当たり国民所得は相変わらず、欧米などの後じんを拝したまま。40年間あぐらをかいてきた世界第2位の経済大国の座も、間もなく中国に譲る。「経済一流」から転落する日本は、新たな国のかたちをどう築いていくか。政治三流では済まされまい。きょうは衆院選の投票日。国の将来を託す重要な日である。

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