HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57964 Content-Type: text/html ETag: "add1d-15b3-d539a2c0" Expires: Fri, 28 Aug 2009 20:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 28 Aug 2009 20:21:10 GMT Connection: close 雇用と物価 デフレに至る悪循環を防げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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雇用と物価 デフレに至る悪循環を防げ(8月29日付・読売社説)

 物価下落と雇用情勢の悪化が、深刻なデフレを招かぬよう、細心の注意が必要だろう。

 7月の全国消費者物価指数が、前年同月比2・2%下がり、下落率は戦後初めて2%台をつけた。

 一方、7月の完全失業率は前月より0・3ポイント悪化して5・7%となり、戦後最悪を更新した。

 雇用の悪化で労働者の収入が減ると、物が売れなくなって価格が下がる。このため企業の売り上げが減り、リストラなどで雇用はさらに厳しくなる。物価と雇用の統計は、デフレの悪循環が現実味を増してきたことを示している。

 衆院選後の政権がどうあれ、デフレ阻止と景気浮揚に全力を挙げねばならない。

 物価の大幅下落は、前年に高騰した原油の値下がりが主因だ。ガソリン価格は30%も下がり、物価全体を約1%押し下げた。

 だが、エネルギー関連を除いた物価も0・9%下がり、下落率は深刻なデフレ期の2001年度とほぼ同水準だ。現在のデフレ傾向を、原油高の反動による一時的な現象だと軽視してはなるまい。

 物価下落の核心は、内需の不足にあると見るべきだ。

 4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は、5四半期ぶりにプラス成長に転じた。だが、輸出回復と、経済対策による省エネ家電の販売増加など政策効果が中心で、内需全体の足腰は弱い。

 本格回復のカギを握る消費は、百貨店とスーパーの販売不振が長期化し、好調だったコンビニの売上高も、7月には過去最大の下げを記録した。

 消費者は、食品や日用品など必需品への支出を切りつめ、コンビニでは来客数と1人あたりの購入額が、ともに減った。

 安売り競争も激しい。消費者にはうれしいことだが、行き過ぎれば物価と景気が連鎖的に落ち込むデフレスパイラルにつながる。

 当面は、景気・雇用対策で内需を支える必要がある。民主党は、景気対策のための補正予算を組み直すという。無駄の見直しは大切だが、公共事業の大幅カットなど緊縮策は避けねばならない。

 日銀の金融政策も重要だ。政策金利はゼロ%に近い低さだが、物価下落率の分だけ、実質金利は上昇する。低金利政策の効果はかなり減殺されていよう。

 デフレ傾向が強まるようなら、長期国債の買い入れ増額や、日銀当座預金残高を目標とした量的金融緩和策の導入など、追加策を検討すべきだ。

2009年8月29日01時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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