コンビニエンスストア2位のローソンと、ドラッグストア最大手のマツモトキヨシホールディングスが広範囲に提携することで合意した。コンビニの店数はすでに飽和状態にある一方、医薬品販売は規制緩和で異業種から参入しやすくなった。高齢化が追い風となる医薬品販売が、消費市場の縮小に悩む小売業界の成長戦略や再編の軸になりつつある。
両社は新会社を設立、それぞれの強みを生かした新しいタイプの店を出店する。既存店にも商品を互いに供給。独自商品も共同開発する。
コンビニは若い男性に支持され成長。ドラッグストアは医薬品や健康食品で中高年客などに強いほか、近年は化粧品の安売りで若い女性の利用も多く、補完関係にある。
新型店では互いの強みを生かす。高齢化や環境意識の高まりなどで、クルマが必要な巨艦店に替わり、今後は近場で手軽に安く日用品全般を購入できる小型店への要望が高まるのは確実だ。新型店はそうした需要の変化に対応した店にする。
ローソンは社員の相互出向を通じ医薬品販売に必要となる登録販売者を確保、育成する。既存店での医薬品の取り扱いを拡大し、新たな収益の柱に育てる。仕入れ面でも単独で商品を調達するより有利になる。
ドラッグストアは価格が安定している大衆薬の利益を化粧品や加工食品、日用雑貨などの安売りに生かし成長してきた。しかし金融危機以降の節約志向で化粧品市場は伸び悩み始めている。大手スーパーが格安食品店の展開を始めたのも脅威だ。
さらには6月の改正薬事法施行で家電量販店などが医薬品販売に本格参入。こうした危機感から、深夜時間帯も開拓できる新たな販路としてコンビニとの提携が浮上した。
流通2強のうちセブン&アイ・ホールディングスは昨年、調剤薬局最大手と資本・業務提携し、低価格医薬品店の展開を準備するほかセブンイレブンでの販売もにらむ。イオンもかねて複数のドラッグストアをグループ傘下に入れ、一大勢力として育成してきた。
今回の提携も2強の動きが心理的に後押ししたとみられる。医薬品や健康志向の食品は数少ない成長市場であり、今後も再編の軸になろう。