HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 24 Aug 2009 00:18:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:株価1万円台 注意深く見守りたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

株価1万円台 注意深く見守りたい

2009年8月24日

 東京株式市場で日経平均株価(225種)が一万円台で推移している。しかし、景気の先行きはまだ楽観できない。海外景気や迫る総選挙もにらみながら今後も株価を注視する必要がある。

 平均株価は七月下旬以降、一万円の大台を維持している。その背景には、国内企業の生産や輸出が下げ止まり、景気の底入れ感が出てきたことがある。しかし、十七日に四〜六月期の国内総生産(GDP)が発表されてからは、やや勢いを失って、市場関係者の間では、このまま株価が上昇軌道に乗るのか、または再び一万円を割り込む展開もあるのか議論されている。

 中国や米国の景気が回復してきたとの見方も株価を押し上げている。日本からみて一位、二位の貿易相手国である米中の景気回復は輸出企業の業績改善に直結する。業績回復期待は株価の上昇につながる。

 ただ、GDP発表でもあらためて浮き彫りになったことは、外需に頼る日本経済の体質だ。先行きを考えたとき、頼みの綱の米中経済にも不安要素がある。両国とも現在の景気の足取りは財政、金融両面での政策効果に下支えされている面が強く、日本と同様に、その効果が薄れたとき、再び景気が後退に向かう恐れもある。

 国内の問題としては、衆院選後の政権の形も株価形成に影響を与えている。仮に政権交代があった場合、経済政策の中身は大きく変わるだろう。来年度予算がいつ編成できるのか、時期も重要なポイントだ。平均株価が一万円を回復した後、一気に上昇していかないのは、政局を見極めたいとの気分が投資家の間に根強いことを示している。

 株価は「経済を映す鏡」と言われるが、その鏡が曇っていることもある。昨年九月のリーマン・ショックの直前、一万二〇〇〇円台で推移していた平均株価は十月上旬には一万円割れ。今年三月十日にバブル後最安値の七〇五四円まで下落した。世界同時株安は、投資家が一種のパニックに陥ったためでもある。投資家の恐怖心が実体経済の悪化以上に株価を暴落させた。バブルの時代には、その逆の現象が起きた。

 しかし、通常の場合、株価には取引に参加する大勢の人々の経済に対する見通しが凝縮、反映され、半年から一年先の景気を予想する重要な経済指標の一つだ。一喜一憂せずに、今後の動きを注意深く見守りたい。

 

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