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8月23日付 編集手帳

 〈政綱だの、マニフェストだの外資輸入だの増税だの軍備緊粛だのと(さわぎ)()てるが…〉。何か最近の政治を喝破した文章にも見えるが、これは明治31年(1898年)の小説「くれの廿八(にじゅうはち)日」(内田魯庵)に出てくる一節だ◆100年以上も前に、マニフェストという言葉が用いられていたことに驚く。直前に〈政綱〉とあるから、政治的な宣言の意味だろうと推測できるものの、異説もある◆日本国語大辞典では、魯庵の用例を「船長が税関に提出する積荷(つみに)目録」のことだと解釈する。直後に〈外資輸入〉と続くからか。実はマニフェストという外来語は二つあり、荷物の目録などはmanifest。政権公約などを意味するのがmanifesto◆一昔前まで新聞で使うのは(もっぱ)ら前者、それも産業廃棄物の記事によく出てきた。古手の行政記者にとってマニフェストと言えば、産廃処分時の記録書類のことだ◆今は政権公約を意味する方が一般に定着している。だが両者は紙一重、見込みのない公約集なら、将来の政策廃棄物一覧とも言える。さてどちらのマニフェストだろう。選挙サンデーによく吟味したい。

2009年8月23日01時15分  読売新聞)
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