伝説の歌手ボブ・ディランに職務質問した若い警官二人が、ディランを知らなかった。そんなジェネレーションギャップが全米で話題になっている(十六日付毎日新聞朝刊)▼現場は、ツアー先の米ニュージャージー州。二十代の警官に名前などを聞かれ「ボブ・ディランだ」「ツアーに行くところだ」と答えたが、警官は身分証の提示を求めて目的地まで同行。もう一人の若い警官もディランを知らないようだったという▼代表曲「時代は変る」を地で行く話だが、意味のない規制が若者の政治的関心を奪いかねないジェネレーションギャップは、笑い話では済まない。選挙運動のインターネット規制のことだ▼今回の総選挙でもホームページやブログを活用する候補者が多かったが、公示を機に更新がぴたっと止まった。ホームページやブログの情報は法定外の「文書図画」、更新は「頒布」として公職選挙法の規制対象になるからだ▼異例ともいわれた四十日間の選挙戦は、有権者がじっくりと各党の政策を吟味できるプラス面がある。しかし、肝心の公示後のネット規制は、若い世代から政治を遠くに押しやることにならないか▼総務省の研究会は七年前、ホームページの選挙利用の解禁を提言したが、自民党のベテラン議員の反対論から解禁に至っていない。先進国では日本だけだ。そんな時代は変えなくては。