HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58142 Content-Type: text/html ETag: "15e8d6-15d7-10f8dfc0" Expires: Fri, 21 Aug 2009 20:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 21 Aug 2009 20:21:10 GMT Connection: close 温室効果ガス 見極めたい現実的な削減策 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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温室効果ガス 見極めたい現実的な削減策(8月22日付・読売社説)

 二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を最小限に抑え、低炭素社会を構築する。今回の衆院選はその道筋を考える好機といえるだろう。

 各党は、地球温暖化防止のため、温室効果ガスの排出削減を公約に盛り込んでいる。限りある資源である石油、石炭への依存から脱却するためにも、排出削減は着実に進めていかねばならない。

 「2050年までに、先進国全体の排出量を80%以上削減する」――。7月の主要国首脳会議(サミット)で、主要8か国(G8)首脳は、この長期目標を共有することで合意した。

 これは、脱化石燃料社会を実現させ、産業構造を根本から変えて、初めて達成できる目標だ。日本としても、原子力や太陽光、風力発電などの技術革新に力を注いでいくことが肝要である。

 長期目標を見据え、当面のハードルとなるのが、20年までの削減率を示す中期目標だ。

 自民党は、政府と同様、「05年よりも15%減」という日本としての削減目標を設定している。

 麻生首相は中期目標を経て長期目標を達成する前提として、「まだ見ぬ革新的技術の開発と普及が必要となる」と語っている。

 一方で、民主党は、「90年比25%の削減」を打ち出している。05年比では30%減となる。

 排出削減策の柱としては、国内排出量取引市場の創設を盛り込んだ。地球温暖化対策税の導入も検討するとしているが、いずれも、具体的な削減効果は未知数だ。

 温室効果ガスの排出増につながりかねない、高速道路の無料化との整合性も問われよう。

 忘れてならないのは、排出削減には、経済活動への副作用による「痛み」が伴うということだ。

 政府が中期目標を設定する際に示した試算では、自民党の目標とほぼ同じである「05年比14%減」を達成する場合、失業者が11万〜19万人増え、世帯当たりの光熱費の支出は、年間で2万〜3万円増加する。

 民主党の目標である90年比25%減の場合には、失業者は77万〜120万人増え、支出の増加額は11万〜14万円になるという。

 各党は、削減目標を示すだけでなく、排出削減によって生じるこうした様々な影響をきちんと説明しなければならない。

 温室効果ガスの排出量を減らすため、どこまで「痛み」を受け入れられるのか。有権者は、現実的な視点から、各党の政策を判断する必要がある。

2009年8月22日01時07分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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