HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 21 Aug 2009 01:18:46 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:高速道路 『災害に強い』が優先だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

高速道路 『災害に強い』が優先だ

2009年8月21日

 最大震度6弱の地震により静岡県で東名高速道路の路肩が崩れ、復旧に手間取った。盛り土区間の安全が軽視された疑いがある。高速道路は橋などに加え、その他の部分も再点検すべきではないか。

 静岡県牧之原市の東名高速上り線の路肩崩落事故は、通行中の車が巻き込まれる惨事は免れた。しかし、通行止めが全面解除されたのは事故から五日後だった。

 現場は盛り土区間で、降雨に地下水や地質の条件が加わり地震を機に崩れたらしい。交通の多いお盆前後に復旧の工期が延びても、大事をとって途中で工法を変えたのは評価してよい。

 だが最大の問題は、最高水準の土木技術で建設、管理してきたはずの高速道路が、震度6弱程度の地震で崩れたことだ。豪雨で七月下旬、福岡県の九州自動車道も山側斜面が崩れ、埋もれた車内の二人が死亡した。

 高速道路はカーブの半径が長いなど一般道路より構造が優れ、全国の基幹道路網につながる。災害時は救援や復旧に必要な物資や人員輸送の動脈となる。それが機能しないとお話にならない。

 「日本の公共工事は質が高い」との神話は阪神・淡路大震災で崩れた。名神高速、中国自動車道、阪神高速の橋脚や高架橋の倒壊を踏まえ、高速道路と直轄国道は橋梁(きょうりょう)、橋脚の耐震補強が進められ、たとえば東名は昨年度98%が終わり、来年度には完了する。

 だが道路災害の八割は盛り土、切り土区間の法(のり)面で起こる。とくに五割は盛り土区間の路肩の谷側で、牧之原も路肩の谷側だった。それなのに盛り土区間の地震などへの配慮は行われていない。

 これまでの経験から得た盛り土の材料、高さ、標準こう配で安定が確保され、時の経過で強度が増すと予想するからだ。それに安易に頼って大丈夫なのか。

 設計の際、基礎地盤が堅固で、土砂災害の危険地域ではないと確認し、ルートを決めたか。降雨、地下水、浸透水など実態を把握し排水対策を講じたか。専門家の指摘する問題点は少なくない。

 中日本高速道路会社はこの事故で検討委員会を設け、東名がなぜ牧之原で崩れたか、ほかに類似の事故が起きそうな区間はないか、調査を始めた。

 盛り土区間は橋などに比べ、安全が軽視された疑いがぬぐえない。原因究明の徹底と他の危険個所の洗い出しに十分時間をかけ、抜本的対策の施工で、全区間を安心して走れるようにしてほしい。

 

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