HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 20 Aug 2009 22:18:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:09年 衆院選 次世代育てる策を競え:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

09年 衆院選 次世代育てる策を競え

2009年8月20日

 少子化が深刻化するなか、各党の政権公約にも子育て支援が看板政策として位置付けられた。政治の最重要課題になったことはいいが、子育て世代を本当に支えられる政策なのか。

 月二万六千円を中学卒業までの子供がいる世帯に支給する、民主党の「子ども手当」が話題だ。公立高校無償化、希望者全員が受けられる大学生向け奨学金制度の創設も訴える。

 自民党は、三〜五歳児を対象に幼児教育の無償化、高校・大学生向けの就学援助や給付型奨学金制度を創設するという。今回の衆院選で各党が次世代支援策を、最重要政策として位置付けたことは評価できる。

 子育ては教育費負担が大きい。文部科学省によると幼稚園から大学までの教育費は、すべて公立だと約八百三十万円。中学から私立に通うと約千五百万円になる。経済協力開発機構(OECD)の調査では、大学・大学院などの高等教育費について、公的負担と家計負担の比率をみると、家計負担が3〜25%の欧州に比べ、日本は53%と韓国を抜いて加盟国トップ。子育て世帯の負担は重い。

 この負担の軽減は少子化対策には欠かせない。だが、民主党の子ども手当は、子育てを終えたり、子供がいない世帯などでは負担が増える。一方、同手当は所得制限がなく高所得者にも支給される。

 自民党の幼児教育無償化も、なぜその年齢だけを対象にするのかが不明確。家庭で子育てしたり、無認可保育園に預ける世帯は対象から外れる。

 子育て支援は、その費用を子育て世帯以外も負担する必要がある。「子供は社会の希望」だ。希望は社会全体で育てる、だから負担は「損」ではなく「必要」だと理解してもらうことが求められる。

 少子化対策は、現金給付の充実や保育施設整備、教育費軽減だけではない。安心して産める医療、男女が子育てしながら働ける職場環境、若者には結婚・出産できる安定した雇用が必要だ。まさに政権の総合力が求められる。

 両党の子育て支援が「バラマキ」と映るのは、社会保障の将来にどれくらいの危機感を持ち、各分野の政策をどう動員して取り組むのか、戦略や理念が見えないからだ。自民党は政権を担いながら少子化を止められなかった“前科”がある。

 若い世代を支える戦略は何か。実行力を伴った未来像を示してほしい。

 

この記事を印刷する