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農業政策 バラマキより体質強化が先だ(8月20日付・読売社説)

 日本の農業が衰退の一途をたどっている。

 農業就業者は300万人を割り込み、その6割を65歳以上の高齢者が占める。1960年に600万ヘクタールあった耕地面積は450万ヘクタールまで減り、耕作放棄地は東京都の面積の2倍にものぼる。

 早急に再生への処方(せん)を示し、食料の安定供給に道筋をつけなければならない。この衆院選で、各党は、農業の将来像をはっきり示すことが求められている。

 自民党は「農業所得の増大」を政権公約の柱に据え、「考えられる(すべ)ての対策を講じ、意欲ある農家」を支援するとした。

 コメの生産調整(減反)に協力した農家への助成や、農産物価格が下落した時に国が支払う経営安定のための補填(ほてん)金を拡充する。助成の対象となる経営面積や年齢の要件撤廃も盛り込んだ。

 民主党の手厚い農家の保護策に対抗するためだろう。多くは現状の助成策の拡充であり、バラマキ色が強い。反面、農業の構造改革への取り組みは不明確だ。

 一方、民主党はコメや麦など主要作物について、2011年度からの「戸別所得補償」導入を公約した。販売農家すべてを対象に、販売価格と生産コストの差額を国が補助する仕組みだ。

 日本の農業所得は、この15年間でほぼ半減している。農業を「食べていける産業」にしなければ、担い手は集まらない。所得補償は欧米でも農家の暮らしを支える有力な選択肢となっている。

 だが、小規模農家まで所得補償の対象にした点には疑問がある。生産性向上には農地集約による大規模化が不可欠だ。一律の補償は非効率を温存し、農業の体質強化を阻むことになる。

 民主党は「経営規模などに応じて補助額を加算する」と言うが、規模によって大きく異なる生産コストをどの水準に設定すればいいのか、具体的な仕組みを示すのは容易ではない。

 貿易自由化と農政の関係についても、あいまいな面が残る。

 当初、民主党は政権公約に「米国との自由貿易協定(FTA)を締結する」と明記したが、農業関係者からの批判を受けて、「交渉を促進する」に軌道修正した。

 米国との早急なFTA締結は、国内農業に壊滅的な打撃を与えかねない。修正は現実的な選択といえるが、交渉を促進するのも簡単ではないはずだ。FTAの具体的な展望を示すべきだろう。

2009年8月20日01時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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