HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 20 Aug 2009 02:18:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:新型インフル 弱者感染に十分注意を:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

新型インフル 弱者感染に十分注意を

2009年8月20日

 新型インフルエンザが本格的に流行する兆しを見せてきた。沖縄、兵庫、愛知県では重い疾患を持つ感染者が相次いで亡くなった。重症化しやすい人にはこれまで以上に早期治療が求められる。

 亡くなった三人は、慢性腎不全、糖尿病、多発性骨髄腫などの基礎疾患があり、免疫力が低下していたうえに新型に感染したため、一気に悪化したようだ。

 このうち沖縄、兵庫の場合、新型に感染していたことが死亡後に確認された。

 もう少し早く適切な治療が行われていればと、残念でならない。

 季節性のインフルは通常、空気が乾燥する冬に流行するが、新型は夏でも発生する。多くの人が免疫を持たないからだ。

 新型の感染者の発生は六月以降少なくなったが、七月後半から再び増え始めて、これまでに国内で五千人を超した。プロ野球選手、力士なども感染している。

 感染者の多くが三十代以下の若い世代であることなどから、高齢者には免疫力がある可能性を指摘する研究報告があるが、その免疫がどの程度感染防止に効果があるのかは立証されていない。

 相次ぐ感染者の死亡は、季節性と同様に、高齢者を中心に基礎疾患を持った患者には早期診断・治療が必要なことを再認識させた。妊婦、乳幼児も重症化しやすいことが知られている。各医療機関には、こうした人々への情報提供を十分に行い、インフル様症状には特段の注意を求めたい。

 院内感染防止対策も再度、徹底する必要がある。

 舛添要一厚生労働相が「本格的な流行がすでに始まっている可能性がある」というように、夏季でも感染者がじわじわと増えていることから、懸念されるのは夏休み明けに学校が再開されたあと、一気に増えることだ。

 一九一八年から三年続いたスペインかぜでは第一波の症状は比較的軽かったが、その後病原性が高まり多数が亡くなった。今回も秋以降、病原体の変異が起きて病原性が高まる可能性は否定できない。

 政府は自治体と協力して医療体制の整備に万全を期してもらいたい。大流行に備え今秋からワクチン接種を始めるが、接種の優先順位の議論も早急に始めなければならない。

 各個人レベルでも感染防止の自覚を持ち、外出から帰ったあとの手洗い、症状が出た場合のマスクの着用、咳(せき)エチケットの徹底、外出の自粛などを心掛けたい。

 

この記事を印刷する