HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 19 Aug 2009 20:18:11 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:09年衆院選 心に響く言葉がほしい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

09年衆院選 心に響く言葉がほしい

2009年8月19日

 政権選択決戦の幕が開け、各党首が街頭で第一声を放った。生活重視の目玉政策が語られたが、聴衆の心に響く、リーダーとしての言葉はいまひとつの感だ。肝心の党首力がかすむようでは困る。

 麻生太郎首相は第一声の場を東京の八王子市に選んだ。自民党が前回二十三勝一敗と圧勝した東京は一転して苦戦模様。オセロ風ゲームのようにひっくり返れば、政権転落が現実のものになりかねない。そんな懸念が初日の東京行脚になった格好で、公明党の太田昭宏代表の応援にも駆け付けた。

 民主党は役割分担で臨んだ。鳩山由紀夫代表は大阪、菅直人代表代行は東京、岡田克也幹事長は福岡で演説を始めた。勝敗を左右する大都市圏重視という考え方は自民、民主とも同じようだ。

 首相は冒頭、おわびを口にした。政権運営の迷走を自らの「力不足」、小泉構造改革に伴う格差拡大を「配慮が足りなかった」と頭を下げた。謝罪から始めなければならないところに、自民の置かれた厳しい立場が浮かび上がる。

 その「反省」もなぞった程度で自民の責任力、実行力と力説されても有権者には伝わらないだろう。「政権でなく政策選択を」ともいうが、なぜ自公政権を選択してほしい、と言えないのか。

 鳩山氏は「惰性の政治に終止符を打たなければならない」と政権交代へ決意をアピールした。ただ「民主政権」発足で起きる日本チェンジの全体像について、聞く方が身を乗り出す、わくわくするようなメッセージはなかった。

 民主優勢が伝えられる中、「守り」の演説に徹するときでもあるまい。自民が批判する子ども手当の財源や安全保障政策も、小手先でかわすつもりなら、政権担当能力への世間の疑念はぬぐえない。

 公明党の太田氏は「実現力で生活を守り抜く」と表明。共産党の志位和夫委員長は消費増税反対、社民党の福島瑞穂党首は非核三原則法制化、国民新党の綿貫民輔代表は郵政民営化見直しなどを掲げた。カラーはそれなりに出たが、「自・民」対決の埋没回避へさらなる発信力が問われる。

 首相は「日本を考える八月にしてほしい」と繰り返している。同感だ。ならば有権者が「考える」に足る材料を、自らもっと語ることだ。腹の底からわき出る、偽りのない言葉で。他党首も同様だ。

 党首たちこそ考えてほしい。炎天下、立ち止まり耳を傾ける聴衆の思いを裏切らないために。

 

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