爆音のようなくしゃみをする人をたまに見かける。本人は爽快(そうかい)かもしれないが、欧米ではエチケットを知らない人として軽蔑(けいべつ)されるようだ▼せきやくしゃみをする時は、必ずティッシュや袖の内側で口と鼻を覆い、しぶきを周辺にまき散らさないようにする。そんな衛生観念が常識だという(『豚インフルエンザの真実』外岡立人著)▼新型インフルエンザの国内感染の拡大を受けて、舛添厚労相は「本格的な流行が始まったと考えていい」と警戒を呼びかけた。甲子園球児やプロ野球でも集団感染が確認され、日本ハムのチームリーダーの金子誠選手が「学級閉鎖はできてもチームは閉鎖できない」と悲鳴を上げている▼空気が湿っている夏場でも流行するのだから、感染力は強いのだろう。亡くなった三人はいずれも持病がある人だった。糖尿病、腎臓病などの疾患を持つ人は十分に注意してほしい。重症化しやすい妊婦や乳幼児も早期の治療が重要だ▼本格的な流行期に入ったいまこそ、落ち着いて考えよう。新型は季節性インフル以上に毒性が高いというわけではない。発病しても大半は軽症で済んでいる。感染しても症状が出ないケースも多いのだ▼子どもが学校などで感染しても、一緒に住んでいる父母に感染する例が少ないなど謎も多いが、一番の防止策は手をよく洗うことだ。基本的なことから始めたい。