HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 56535 Content-Type: text/html ETag: "f9249-1199-eb3ea300" Expires: Wed, 19 Aug 2009 02:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 19 Aug 2009 02:21:13 GMT Connection: close 8月19日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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8月19日付 編集手帳

 ドイツのソプラノ歌手エリカ・ケートさんは言語の響きや(にお)いに敏感であったらしい。歓談の折に語った比較論を「劇団四季」の浅利慶太さんが自著に書き留めている◆イタリア語を「歌に向く言葉」、フランス語を「愛を語る言葉」、ドイツ語を「詩を作る言葉」と評した。日本語は――浅利さんの問いに彼女は答えたという。「人を敬う言葉です」(文芸春秋刊「時の光の中で」)◆一昨日、甲子園の高校野球中継で実例に接した。横浜隼人(神奈川)戦に完投した花巻東(岩手)菊池雄星投手の勝利インタビューである◆「これまでも練習試合で対戦し、ずっと横浜隼人のようなチームになりたかった。きょう勝てて、少し近づけたかなと思う」。選抜の準優勝投手で、屈指の左腕で、文句なしの快投を見せた直後で、多少の大口は許されるだろうに、この言葉である◆じつを言えば小欄は郷土の代表、横浜隼人を応援していたのだが、負かされた悔しさはどこかに消えていた。言葉は、人の心を潤す魔法の水だろう。折しも列島は選挙一色、激戦のなかでも「人を敬う言葉」は忘れずにいて欲しいものである。

2009年8月19日01時21分  読売新聞)
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